2018年4月20日金曜日

スタンフォード哲学事典の「言語行為」を訳読しよう #09

グ(以下略).前回はこちら


---- ここから訳文 ----

3.2 充足条件


ひとつの案は、これに関連した充足条件の概念からもたらされるかもしれない。充足条件の概念は、真理条件の一般化だ。セクション 2.3 で見たように、物事のありようととらえようとすることが確言という活動には含まれている。確言が物事のありようをとらえたとき、その確言はたんに真であるだけでなく、目的をとげている。つまり確言の目的が達成されているわけだ。同様のことは命令にも言える:世界がその命令に合致させられるよう命じられることが、命令を発する活動の一環をなしている。確言も命令も、ともに充足条件をもっている――確言の場合には真理〔条件〕、命令の場合には履行〔条件〕(comformity) がある。さらに、このようにも考えられるかもしれない: 質問が目的を達するのは、答えが得られたときであり、典型的にはその答えは質問された相手が遂行する言語行為でもたらされる。たとえば、質問に答える確言でもたらされる。だが、適合方向の概念と同じく、充足条件の概念もあまりに粗すぎて、言語行為どうしに有用な区別をつけられるようにしてくれない。さきほどの例をまた出すとしよう:P を確言することと、P を推測することは、どちらも同じ充足条件をもっている。つまり、P が成り立っているという条件をもっている。この2つの言語行為を区別する特徴はなにか見つけられないだろうか? 他の言語行為どうしももっと細やかに区別できるようにしてくれる特徴はないだろうか? この疑問にはセクション 6 - 7 で立ち戻ることにしよう。

---- ここまで訳文 ----

つづく: #10

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