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2018年11月6日火曜日

Bookmark: トイレの再発明

ビル・ゲイツせんせいが立ち上げた「トイレ再発明チャレンジ」に寄せられたいろんなアイディアを紹介してる:

2018年11月1日木曜日

ウェストン先生の『論証のルールブック』を7割ほど訳した

アンソニー・ウェストンせんせいのロングセラー『論証のルールブック』第5版をとある授業で学生さまに読んでもらうついでに訳している.いまのところ,第7章までは終わってる.あと,付論の「定義について」も訳してある.

  • 第1章 短い論証
  • 第2章 事例による論証
  • 第3章 類推による論証
  • 第4章 権威による論証
  • 第5章 原因についての論証
  • 第6章 演繹的な論証
  • 第7章 長文の論証
  • 第8章 論述文
  • 第9章 口頭で論証を述べる
  • 第10章 公開討論
  • 付論I: よくある誤謬
  • 付論II: 定義について
  • 参考資料(リソース)

古い第3版は翻訳書が出てる:

  • 『論理的に書くためのルールブック』(古草秀子=訳,PHP,2005年)

じゃあ第5版をわざわざ訳す意義はあるのかっていうと,それなりにあるとぼくは思ってる(ので訳してる).まず,新しい版で加えられた章がある.口頭発表のやり方や公開討論についての助言(第9章,第10章)がそれだ.また,本文もけっこう手が加えられている.あと,これは好みの部分も大きいけれど,古草先生の訳文は割とかたい文体にしてある.でも,ウェストン先生の語り口はもうちょっと軽妙だ.ぼくとしては,そういうスタイルを日本語でも活かした方がいい本になると思う.

ともあれ,いまのところどっかから翻訳書が出版される予定はないし,たぶんバカ売れするものでもない.それでも,長らく読まれてるだけのことはあるコンパクトな良書で,新規の訳書にも意義はあると思うんだけど――どんなものでしょうね?
 
追記: 旧版の訳者でもある古草先生の訳で第5版の翻訳書も出たYO! [Amazon]

2017年12月5日火曜日

「信用の可視化」(『消費資本主義!』の余白メモ)

ミラーせんせいは,クレジットスコア・信用格付けが堅実性の「メタ標示」になると考えている:
信用格付けは他人には直接参照できないし、知覚もできないけれど、購買力を大いに支えているため、もはやコレ抜きに中流のライフスタイルは成り立たない。よい信用なしに、車も住宅も手に入れられない。このため、そこそこの車や住宅を所有している人々は、間接的に立派な信用スコアを誇示している。それはつまり、堅実性を誇示しているということでもある。(『消費資本主義!』p.320)
いい車や住宅をもっている→それを購入できるだけの信用スコアがある→それだけの信用スコアを獲得できるくらい堅実である,というわけだ.

2017年12月2日土曜日

にっき: iPad Pro での校正作業はらくちんだ

『消費資本主義!』では,編集者さまに可否を問い合わせたうえで再校のチェック作業を iPad pro でやった.短所もあるけれど,長所の方が上回るという手応えがある.

▲ PDF Expert の作業画面.赤ペンで修正指示を書き込んだり.

2017年9月11日月曜日

clip: 科学ニュースのソース明記

▼ 科学ジャーナリストとして活動してる松永さんのツイート:

2017年9月10日日曜日

"GOP establishment"「共和党本流」

「ハリケーン《イルマ》が危険だと警告しているのはリベラルの陰謀だ」(大意)と発言して物議と失笑をおこしているラジオパーソナリティのラッシュ・リンボーの件にふれて,クルーグマンがブログで「これを例外だと思っちゃいけないよ」と書いている:
But you’re missing the point if you think this is about Rush Limbaugh. Crazy conspiracy theorizing about climate change isn’t an aberration on the right, it’s the norm. Almost every senior figure in energy and environmental policy within the Trump administration is a climate change denier, with most of them having expressed the view that the science is a hoax. And in this case Trump isn’t bypassing the GOP establishment: these people are the party’s establishment.
だが,これがラッシュ・リンボーひとりの問題だと思うと大事なところを見失ってしまう.気候変動についてイカレた陰謀論をめぐらせるのは,右派の異常事態ではなくて,平常運転だ.トランプ政権でエネルギー・環境政策にあたっているお偉方のほぼ誰をとってみても気候変動否定論者で,これまでに気候変動の科学はインチキだと表明したことがある.そして,この件ではトランプは共和党本流を頭越しに無視していない:この面々は共和党の本流だ.
("The Paranoid Style In Conservative Politics," The Conscience of a Liberal, Sept. 9, 2017)
内容が気になる方は原文でつづきをどうぞ.ここでは,純粋に語学的な話しかしない.

"GOP establishment" は「共和党本流」と訳すとしっくりくるように思う.ある社会や集団で影響力・権力がある人たちのことを言う(OALD参照).日本語の「本流」「傍流」もだいたいそういう区別に相当している.『新英和大辞典』(研究社)は,この語義に「支配階級」「体制」の訳語をつけている.それはそれでいいけど,この文脈で「共和党支配階級」「共和党体制派」では,「いったいなんのこっちゃ?」となってしまう.

ちなみに,GOP は Grand Old Party の略で,共和党のことを指す.

(そういえば,高校生のとき,「えすたぶりっしゅめんと」ってなんじゃろうと思って英語の先生に質問してもけっきょくピンとこなかった記憶がある.べつに英語の文章かなにかに絡んだ質問じゃなくて,山本耀司が「反エスタブリッシュメント」だとかなんとかという話がよくわかんなかったの.)

2017年9月9日土曜日

"you could be Jack Ryan, Jack Sparrow, or Jack the Ripper"

ここに抜粋して訳した文中に,主節で話し手以外の視点をとる認識的法助動詞の例があった:
And we bet you're right. You are probably perfectly safe.
But SHE doesn't know that -- when she meets you, you could be Jack Ryan, Jack Sparrow, or Jack the Ripper. 
読者の「あなた」 は,じぶんが安全な男性なのを百も承知だとしても,相手の女性から見れば本当に安全な優良物件男なのかイカレた殺人鬼なのかわからないでしょ,という趣旨の文で,話し手が「~でありうる」「~かもしれない」と考えてるわけでもないし,読み手の you がそう考えてるのでもない.

「あばずれ叩き」と共有地の悲劇

「午前中」の時間指定でお願いしていたのになかなかこない配達を待ちながら,マックス & ミラーせんせいズのモテ本でマーカーをつけたところをなんとなく見返している.
男連中なら知ってのとおり,男性どうしの競争戦術のなかには,おろかで馬鹿げてるものもある.そこは女性も変わらない.キミが本書を読んでいるくらい賢明な人なら,キミの相手にふさわしいくらい賢明な女性だって,女性どうしの競争にあるいろんな馬鹿馬鹿しい部分をあらかた理解してる.アホな男どもにキミがげんなりしてるのと同じように,彼女たちだってアホな女にげんなりしてる.だけど,べつに尊敬もしてない男どもからの社会的な賞賛を手に入れようとキミが模索してるのとまったく同じように,女性たちだってべつに尊敬してない女連中から社会的な賞賛をえようとしてる――で,そんなことをこれほどまでに本能的に気にかけてしまっているじぶんにあきれてしまうことだってよくある.
 でも,男女の類似点はこれで打ち止めだ.女性が社会的にうけやすい打撃は男性とずいぶんちがう.平均で見ると,体育が苦手だったりケンカが弱かったり稼ぎがショボかったりしても,女性は男性ほど心配しない.だが,知人・同僚・家族・ご近所でのじぶんの性的な評判についてはとても気にする.具体的には,現代社会におけるあばずれ叩きがじぶんの評判におよぼす,実存をゆるがすほどの脅威を心配してじりじりしている.
 こと,あばずれ叩きとなると女性はおたがいに容赦ない.1人の女性の社会生活をまるごとつぶしたければ,彼女のことをろくに知らない人たちによって交友メディアにセックスにまつわる意地の悪い噂が流れればこと足りる.大学を卒業するまでに,やれ「あの子はあばずれだ」だの「売女」だのと言ったネタで他の女性たちについて女性どうし非難やからかいの言葉を交わしているのを(教室で,学生寮で,女子寮で,職場で)何年にもわたって耳にすることになる.誰かとタイミングのわるい一夜限りの関係をもったり無思慮な友達とつきあって見返りをもらったりしたときにどれほどの不安を覚えるか,想像してみよう.女性によってはすっかり思考が麻痺してしまうほどだ.
 一人の男性として,というか社会のまっとうな一員としても,次の点はぜひとも理解しておきたい――女性のあばずれ叩きは,深い自己嫌悪や集団内嫌悪の産物ではないんだよ.そうじゃなく,これほど広くあばずれ叩きが見られるのはなんでかって言うと,いいボーイフレンドを手放さずにおきたい女性にとって好色なライバルは最大の脅威だからだ.「あばずれ」が叩かれ軽蔑されるのは,べつに女性たちが「あばずれ」たちの性欲のありように居心地悪さを覚えているからじゃない.「あばずれ」たちが恋人探しの手練れだからだ.これは,大半の女性にとってほんとに差し迫った脅威になる.そのため,女性がキミとの短期的なお付き合いを考えているとき,同時にこんなことも考えてるものだ――「学校や職場で誰かに嗅ぎつけられたりしないかな?」とか,「週末にママと Skype でおしゃべりしてるとき,この件でどんな気分になるだろう?」
 女性が好色にふるまうのは,恋人探し市場で「共有地の悲劇」効果ももたらす.ある女性が2回目のデートでフェラしてあげようかともちかけたら,他の女性たちがとびっきりのご褒美として4回目のデートまでとっておくのが難しくなる.これにより,もっとたくさんのセックスをもっとたくさんの男性にもちかけてやらないと恋人探しゲームにとどまれなくなってしまう下方スパイラルがうまれる.この点で,あばずれ叩きは他の女性たちにもっと厳しい性的規範を強制することで,べつにあらゆる女性が本人ののぞむ以上に好色に振る舞わなくてすむようにする方法となっている.
 かくして,あばずれ叩きは女性の情動の根っこにまで深くしみついて,自尊心を手ひどく痛めつけ,損なう.だからこそ,よほど自信と性的経験をたっぷり持っている人でもないかぎり,たいていの女性は一晩かぎりの情事をおえた翌朝に,じぶんのことを立派に思えなくなってしまうんだ.一度きりの情事を終えた朝に歩く家路を女性たちが「恥辱の道」と呼ぶのにも理由があるわけだよ.
 あばずれ叩きのリスクをふまえたうえで典型的にとられる女性の戦略は,短期的な恋人づきあいをひそかにすすめて,知らぬ存ぜぬをとおす余地をたっぷり用意しつつ,適応的な自己欺瞞や状況による合理化を図ることだ.気軽なセックスをしても信用できる言い訳が用意できるならあばずれ呼ばわりのリスクを低減できる――「誕生日だったの」「すっかり酔ってたから」「春休みでついつい」「だってジャマイカでのことだし」「前からずっと彼の文章に心酔してたから」などなど.
(Tucker Max & Geoffrey Miller, Mate: Become the Man Women Want.) 

「こいつぁ優良物件ですぜ」

――という意味のフレーズ:
... so an adoring Border Collie says to any woman in the dog park, "This guy's a keeper." (〔飼い犬の世話をちゃんとできるというすぐれた資質の証拠になるので〕だから,かわいらしいボーダーコリーを連れ歩いていれば,ドッグパークにいるどんな女性にもこう物語ってくれる:「こいつぁ優良物件ですぜ」)
(Tucker Max & Geoffrey Miller, Mate: Become the Man Women Want.) 
例によって Oxford Learner's Dictionary せんせいにお伺いすると,"keeper" は「とっておく値打ちのあるもの」だそうだ:
(informal) something that is worth keeping
-er がついているけれど,とっておく側ではなくてとっておかれる側を表すのが面白い.

"most every woman..."

「あれ,そういう使い方するのか」と気になった箇所(太字強調は引用者によるもの):
... which is very attractive to most every woman you are going to meet. (これはキミが出会う女性のほぼ誰もにとって魅力的だ)
(Tucker Max & Geoffrey Miller, Mate: Become the Man Women Want.) 
ようするに「たいていの女性」ということなんだけど,文法的には単数扱いの every と most がいっしょにでてくると違和感を覚える.

Oxford Learner's Dictionary せんせいにおたずねすると,北米の略式な語法で almost と同義だと書いてある:
(North American English, informal) almost
I go to the store most every day.(ほぼ毎日あそこの店に通ってます)


clip: リチャード・ドーキンス一人語り(動画)

たぶん,新著 Science in the Soul の刊行に合わせたトーク.いろんな専門家の一人語り動画を公開している Big Think の YouTube チャンネルから:

  1. "Richard Dawkins Reveals How Science Really Works: Imagination, Intuition, Evidence, and Truth" (YouTube, Sept. 8, 2017) 
  2. "Richard Dawkins; No Civilized Person Accepts Slavery, So Why Do We Accept Animal Cruelty" (YouTube, Sept. 2, 2017)
  3. "Richard Dawkins; No, Not All Opinions Are Equal" (YouTube, Sept., 2017) 
  4. "Richard Dawkins: The Dangers of CRISPER, Designer Babies, and Artificial Genetic Mutation" (YouTube, August 21, 2017)
  5. "Richard Dawkins: 2 Flaws Plague Unscientific Beliefs, from Trump & Alt-Right to Religious Doctrine" (YouTube, August 15, 2017) 


2017年9月5日火曜日

「我々は短期的に技術を過大評価し長期的に過小評価してしまう」

――というフレーズを,ロドニー・ブルックスは TED Talk のなかで A. C. クラークの言葉として引用している.


出典は不明(Harvard Business Review の記事でもクラークの言葉として引用している).もとの英文で検索すると,Wikipedia 英語版の未来学者 Roy Amara の項目が引っかかって,Amara's Law(ロイ・アマラの法則)という名称で知られていると書かれている.

だからどうってことはない.

2017年9月2日土曜日

clip: ベゼルなし&縦長画面に向かうスマートフォン

多少スマートフォンの動向に関心がある人なら知っているとおり,スマートフォンは画面の上下左右にある「額縁」(ベゼル)をかぎりなく狭くしていく傾向が強まってる.

2017年9月1日金曜日

禁止の言語行為@商店街




「ここは自転車に乗れません」は,自転車が禁止されている事実を報告しているのに対して,「自転車に乗ってはいけません」はもっと直接的に禁止(命令)している度合いが強い.

「ここは自転車に乗れません」は事実かどうかの真偽が問えるだろうし,権限もなにもない通行人でも「ここは自転車に乗れません」とは言えるだろう.他方で,「自転車に乗ってはいけません」は発言する人間の権限が問われそうだ.

2017年8月5日土曜日

「無敵」の人になるための3点セット

3つそろえて,無敵の邪悪なひとになろう!
  • テロリスト的蒙昧主義:わざと曖昧模糊とした書き方をして,なにを言ってるのかわかりにくくしよう! キミの批判者が「あいつはこういうことを言っている」と言ったらこう言い返してやろう――「あなたは私を理解していないよ.あたまがわるいね!」
  • 「泥壕」戦術:キミの批判者に対しては,「この議論にはこれだけの膨大な文献の歴史と蓄積がある.しっかり読んで出直してきたまえ」と言ってあしらおう! 相手がほんとに読み始めたら,みずから泥壕にハマってくれたようなものだ.やったね!
  • グル効果:とても上手くいったときには,キミの曖昧模糊とした言動に深遠な意味を読み取ろうとしてくれる集団がつくれるかもしれないぞ! ただし,深読みに誘導できるだけのの地位や権威や「カリスマ」が必要だけどね!

もちろん,よいこはこんな手を使ってはいけませぬ.

一方で,この3つと似て非なるものとの区別を忘れてはいけない.
  • 明快な文をただ誤読している人への指摘:明快な文についてあからさまな誤読をして世間に広め,まちがいを指摘されると逆にキレる,という手合いもいるかもしれないね.「きみは誤読しているよ」という指摘がいつでもテロリスト的蒙昧主義とはかぎらない.
  • そうは言っても文献は読まねばならん:どんな分野でも年数が経つにつれて文献が積み上がっていくのは当然だ.「泥壕」について書いてるノア・スミスがリンク先で最初に言っているように,議論の参加者に基本的な研究文献の知識が足りないせいで支障をきたすことも大いにありうる.そこで,ただの泥壕とそうでない研究文献の蓄積を見分ける経験則が「論文2本ルール」だ.相手がいう「膨大な研究文献」から模範・代表といえる論文を2本提示してもらう.立場が逆なら,そういう論文を2本,自分がスイとお出しできるのがのぞましい.
  • 協調的に意味をくみとる:グル効果は,コミュニケーションにあたって協調的にふるまうことの副作用,あるいは解釈における善意の原則の暴走と言える.だからといって,いろんな議論で他人の言葉を解釈するときに「この文脈でそういう解釈はありえないだろう」といった善意を発揮するべきでない,という話にはならない.