2017年8月5日土曜日

「無敵」の人になるための3点セット

3つそろえて,無敵の邪悪なひとになろう!
  • テロリスト的蒙昧主義:わざと曖昧模糊とした書き方をして,なにを言ってるのかわかりにくくしよう! キミの批判者が「あいつはこういうことを言っている」と言ったらこう言い返してやろう――「あなたは私を理解していないよ.あたまがわるいね!」
  • 「泥壕」戦術:キミの批判者に対しては,「この議論にはこれだけの膨大な文献の歴史と蓄積がある.しっかり読んで出直してきたまえ」と言ってあしらおう! 相手がほんとに読み始めたら,みずから泥壕にハマってくれたようなものだ.やったね!
  • グル効果:とても上手くいったときには,キミの曖昧模糊とした言動に深遠な意味を読み取ろうとしてくれる集団がつくれるかもしれないぞ! ただし,深読みに誘導できるだけのの地位や権威や「カリスマ」が必要だけどね!

もちろん,よいこはこんな手を使ってはいけませぬ.

一方で,この3つと似て非なるものとの区別を忘れてはいけない.
  • 明快な文をただ誤読している人への指摘:明快な文についてあからさまな誤読をして世間に広め,まちがいを指摘されると逆にキレる,という手合いもいるかもしれないね.「きみは誤読しているよ」という指摘がいつでもテロリスト的蒙昧主義とはかぎらない.
  • そうは言っても文献は読まねばならん:どんな分野でも年数が経つにつれて文献が積み上がっていくのは当然だ.「泥壕」について書いてるノア・スミスがリンク先で最初に言っているように,議論の参加者に基本的な研究文献の知識が足りないせいで支障をきたすことも大いにありうる.そこで,ただの泥壕とそうでない研究文献の蓄積を見分ける経験則が「論文2本ルール」だ.相手がいう「膨大な研究文献」から模範・代表といえる論文を2本提示してもらう.立場が逆なら,そういう論文を2本,自分がスイとお出しできるのがのぞましい.
  • 協調的に意味をくみとる:グル効果は,コミュニケーションにあたって協調的にふるまうことの副作用,あるいは解釈における善意の原則の暴走と言える.だからといって,いろんな議論で他人の言葉を解釈するときに「この文脈でそういう解釈はありえないだろう」といった善意を発揮するべきでない,という話にはならない.

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