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2018年12月3日月曜日

レン=ルイス近刊『我々を欺いた嘘』

経済学101でちょくちょく訳してるサイモン・レン=ルイスせんせいの新著 The Lies We Were Told(ブリストル大学出版局)の Kindle版が出ていたので買っておいた.いつ読めるんだ…冬休み?

章立てはこんな具合:
  • 序文(ポール・クルーグマン)
  • 導入
  • 第1章 イギリスの緊縮のマクロ経済学
  • 第2章 ユーロ圏
  • 第3章 緊縮の帰結
  • 第4章 2015年イギリス総選挙
  • 第5章 労働党の転換
  • 第6章 EU離脱
  • 第7章 メディア,経済学,ドナルド・トランプ当選
  • 第8章 経済学者と政策立案
  • 第9章 ネオリベラリズムから金権政治へ
  • 結語
ぱらぱらめくってみると,ブログ Mainly Macro の記事を再編集して「後記」(postscript) を書き加えてできあがってるようだ.

2018年11月16日金曜日

Bookmark: 生産性向上へのインセンティブ,それは…

就業者の2割を占めるパート・バイトの賃金上昇は、働く人々の生活水準向上や消費底上げなどプラスの側面が大きい。一方、企業や事業者は必要な人材を確保するためのコスト増を迫られる。自動化などを通じ生産性を高めなければ1000円を超す時給が常態化する時代を生き残れない。
吉野家ホールディングスは18年3~8月期連結決算で最終損益が8億5000万円の赤字(前年同期は13億円弱の黒字)になった。売上高は過去最高水準だったが、人件費が想定以上に膨らんだ。「未曽有の人手不足」(河村泰貴社長)への対策として、配膳などをセルフ式にして効率を高める新型店舗を来期から年100店ずつ増やしていく計画だ。
ファミリーマートは全国の従業員を対象に家電を割引販売して人材を確保する一方、業務の効率化を進める。商品の検品作業を廃止したほか商品を並べやすい陳列棚を導入。省力化で1店舗1日あたりの作業時間を最大3.5時間減らす効果を見込む。効率化へ向け、19年2月期の既存店の投資額を600億円超に倍増する。イオンもセルフレジの導入など自動化投資を拡大する。

この逆方向はどんなものだろう?
「日本人は(…)西洋の科学技術の設計をあらためて,自分たちの低賃金経済でコスト効率のよいものに仕立てた.製糸業に携わっていた商家の小野一族は,築地に製紙工場を建設する(…)使用したのはヨーロッパ製品に案を得た機械だったが(…)そうした機械は金属製ではなく木製で,動力は蒸気機関ではなくクランクを回す人力だった.このように西洋の科学技術を仕立て直すのは,「諏訪式繰糸機」にも見られるように日本で一般的に行われた(…).
こちらは,ブラッドフォード・デロング「明治維新:《ユートピアへの蝸牛の歩み:長い20世紀の経済史》抜粋」から引用.

2018年11月15日木曜日

Bookmark: Vox動画「ラーメンが刑務所で重宝されるワケ:お金そのものになるから」

ニュースサイト Vox の YouTube動画:
牢屋や収容所の貨幣ネタといえばタバコがすぐに思い出されるけれど,タバコが禁じられていることもあって,いまや即席ラーメンが刑務所の囚人たちのあいだでお金そのものになっているんだそうな.おもしろーい.

英語でよければ,ティム・ハーフォードの『覆面経済学者の逆襲』(未邦訳,2013年)の第6章でも,捕虜収容所をおそった「不況」を扱う中でタバコが貨幣になってた話を語っている.

2018年10月12日金曜日

コーエンのクルーグマン・インタビュー(ポッドキャスト)

書き起こしもあって親切ね.

ポッドキャスト用のアプリには Google Podcasts がべんり.再生速度の調節が細かくできる.

2018年9月18日火曜日

メモ (Noah Smith vs. Paul Krugman)

クルーグマンがブログで経済学の現状について長文で述べている:

2018年3月22日木曜日

ピンカー Enlightenment Now 抜粋: 格差悪影響論の難点について

スティーブン・ピンカーの Enlightment Now から、ウィルキンソン& ピケット『平等社会』が格差と人々の厚生に因果関係を認めるのは短絡だ、と指摘してる箇所を抜粋:

2017年9月8日金曜日

clip: ハリケーン「ハーヴィー」と土地規制

土地規制がゆるいせいで今回の洪水がおきたり悪化したりしたわけではないという記事を訳した:



一方,クルーグマンはハーヴィーに言及して都市の区画規制・土地利用規制の必要性を述べている:




2017年8月9日水曜日

「こわれてしまった我らの経済を1枚の単純なグラフに見る」

――と題した『ニューヨークタイムズ』記事を,デイヴィッド・レオンハートが書いている.

記事冒頭の画像(日本語註釈は引用者によるもの):

2017年8月1日火曜日

「ATMの普及は銀行窓口係の雇用を減らさなかったみたいだよ」

――というコラムを経済学101に訳した.著者のベッセンせんせいは,ボストン大学の人.
タイラー・コーエンとティム・ハーフォードがほぼ同時期にこの ATM ネタに言及している:
というか,この2人が言及してたので興味をもったんだけども.

あと,ベッセンせんせい出演のポッドキャスト:






2017年5月20日土曜日

「ピケティ以後」イベント(動画)

2017年5月11日にニューヨーク市立大学で新著『ピケティ以後』(After Piketty) にからめて催されたイベントの動画が上がっている:




ブラッド・デロングのコメント:




2017年3月19日日曜日

weblog: 「予算案の仮面をかぶった政治キャンペーン」

――と,トランプ政権から発表された予算案概要を Stan Collender という財政の専門家が評しているそうだ.紹介しているのは,例によってクルーグマンのコラム:
今週,トランプ政権は予算案概要を出した――もっと正確に言えば,「予算案」概要だ.本物の予算案なら,お金がどこから入ってきてどこに出て行くか詳しく述べるものだ.今回の発表で取り上げているのは,連邦政府の歳出の3分1ていどでしかないし,歳入や赤字の予測についてはなんにも言っていない.

財政の専門家 Stan Collender が言うように,「これは予算案ではない.トランプの政治キャンペーン広報資料が政府文書の仮面をかぶっているだけだ」

今回のコラムの要点は,タイトルのとおり:「保守派の幻想が現実と衝突する」――大きな政府には無駄だらけなんですけお! おれたちがやればもっともっと無駄をなくせるんですけおおおお! …やっぱりだめだったよ,みたいな.
  • 右派は「政府の支出なんてどうせ無駄だらけ,タフなリーダーならそんなものは根絶できる」という考えを広めてきた.
  • オバマケアを撤廃して「もっとはるかに金がかからずはるかにすぐれた」とトランプは約束したけれど,フタを開けてみれば,代替案では2500万人から医療保険をとりあげる結果になると予測されている.
  • もっと一般的に,連邦政府の支出全体を見れば,防衛費を除くと,大きな割合を占めているのは社会保障給付・メディケア・メディケイド,つまりは何千万人ものアメリカ人にとってきわめて重要な項目だ――皮肉にも,トランプ支持の中核層となってきた人たちも,そこに含まれる.
  • じゃあ,なんで多くの人が「大きな政府」に反対しているんだろう? 
  • まず,世間の人たちは政府支出について,実態から乖離した理解をしている.たとえば海外援助は実際には1パーセント程度のわずかな割合なのに,多くの人はずっと大きな割合だと思っている.社会保障給付やメディケアの受給者のなかには,じぶんがそうした給付を受けていると自覚していない人がたくさんいる.
  • (保守系メディアの力もあって)世間で政府支出の実態がゆがんで理解されていることで,それにつけいる余地が政治家にうまれる:大幅に無駄な支出を削減してみせると請け負って見せるのだ.一方,有権者はそうした削減がじぶんの生活にどう響いてくるのかよくわかっていなかったりする.
  • そう言っていた政治家たちが実際に政権を担当すると,先日のオバマケア代替案みたいな事態になる.

▼ 参照:










2017年3月14日火曜日

weblog: オバマケア0.5 続き

連邦議会予算事務局 (Congressional Budget Office; CBO) から,「オバマケア0.5」こと共和党による健康保険制度の新法案の及ぼす効果・影響の推定に関する報告書がでた:

サマリーに目をとおしてみると,「連邦予算への影響」では2017年から2016年の期間に3370億ドルの赤字が削減される一方で,「健康保険加入数への影響」では2018年に健康保険加入者が1400万人減し,さらに2018年から2026年の期間に健康保険未加入者は2100万人増えると予想されている.

米国時間で13日に出たこの報告書を受けて,すぐさま(例によって)クルーグマンが NYT コラム「トランプケア vs. オバマケア:予告済みの黙示録」で取り上げている:





2017年3月11日土曜日

weblog: 大学はシグナリングのためか

心理学ネタを扱っている動画チャンネル "Bite Size Psych" から:


動画の解説は,大卒の方が高卒よりも統計的に所得が高く失業率は低くなりがちな傾向について,それが技能ではなく大卒資格が知性・勤勉さなどの特徴を保証するシグナリングとなっていることに理由があるという立場をとっている.その立場への賛否によらず,動画はよくできているのでこの話題に関心があれば楽しんで見られるだろう.

2017年3月9日木曜日

weblog: オバマケア 0.5

アメリカ共和党が提案した医療保険制度(オバマケア)の代替案に対して,いくつかメディア・識者の分析がでている.

2016年9月16日金曜日

メモ:クルーグマン「オバマの『トリクル・アップ』経済」(2016年9月16日)

今日のクルーグマンのコラムは,国勢調査局からでたレポートの好調な内容を参照しつつ,オバマの政策を「トリクルアップ」として評価する一方で保守派の「富裕層減税」「トリクルダウン」はそろそろ終わりを迎えてしかるべきだと主張している.
コラムの要点は次のとおり:
  1. 新しく出た国勢調査局レポートは経済状況の大きな改善を示している.
  2. 保守派の予測に反してオバマの政策は奏功した.
  3. トリクルダウンではなくトリクルアップを.
以下,内容を見ていこう(翻訳ではないので注意).

2016年9月6日火曜日

ティム・ハーフォード「未来を知る方法」(2015)

Oxford Union での講演.

ケインズとフィッシャーの物語を主軸に語りつつも,キモは心理学の研究紹介.専門家による政治経済的な予測が総じてチンパンジー並みのまぐれ当たりしかしないなかで予測成績の高いグループがいる.すぐれた予測成績と相関している人格特性とは――


(Twitter でのツイートをまとめなおした)

2016年8月22日月曜日

抜粋メモ:クルーグマン「立ち往生してる経済」(2016年8月20日)




後半部分を少し抜き出しておこう:
it’s surely relevant that the two big advanced economies — the US and the eurozone — both have fiscal policy paralyzed by political gridlock, leaving the central banks as the only game in town.
(…)アメリカとユーロ圏では,政治的な立ち往生〔グリッドロック〕によって,財政政策が痲痺してしまい,動きがとれるのは中央銀行だけになってしまっている. 
In the U.S., it’s House Republicans who block spending on anything except weapons; they won’t even allocate funds for Zika! In Europe, nothing fiscal can happen without action by Germany, which is both self-satisfied with its situation and living in its own intellectual universe.
アメリカでは,武器以外にはどんな支出も許そうとしない議会の共和党がいる.連中ときたら,ジカ熱対策にお金を回すことすら拒んでいる.欧州では,ドイツが行動をとらないかぎり財政はうごきっこない.そのドイツは,自国の状況に自足していて,しかも,じぶんの知的宇宙にとじこもっている.
他方,日本はちょっと政治経済的な状況がちがうと考えているらしい:
Japan is, I think, an interesting case, because whatever else it may suffer from, it hasn’t faced US or EZ-type gridlock. It’s not as clean a case as I would like — Abe allowed himself to be talked by the Serious People into fiscal tightening early on, putting the whole burden on Kuroda. But if you look at the longer-term story since the 1990s, Japan actually has had a combination of deficit spending and relatively cautious monetary policy — more or less what Weldon thinks the political economy should be causing everywhere.
日本は,興味をひく事例だと思う.というのも,いま日本がなにに苦しめられているにせよ,アメリカ型やユーロ圏型の立ち往生にははまっていないからだ.ぼくがのぞむほどすっきりした状況にはない――安倍は「お真面目な連中」〔財政緊縮派〕に言い込められて序盤から財政緊縮を許し,重責はまるごと黒田にのしかかった.ただ,もっと長期的に1990年代以降の事情をみると,日本は実のところ赤字支出と相対的に慎重な金融政策の組み合わせをとってきた――いまあちこちで政治経済状況が引き起こしているウェルドンが考えているのとだいたい同じ組み合わせをとっていたわけだ.

The problem now is that while advocates of more fiscal push seem to be winning the intellectual battle, the institutional arrangements that produce macro gridlock are likely to persist. It would take a yuuuge Democratic wave to break the gridlock here, and I have no idea what will unlock Europe.
いまの問題はこういうことだ――知的には積極的な財政政策を支持する論が勝利を収めつつあるように思えるが,マクロの立ち往生をつくりだしている制度的な環境はまだまだ長く続きそうに思える.ここアメリカでの〔政治的〕行き詰まりを打ち破るには民主党のすんげえ大勝利が必要だろう.欧州ではどうすれば行き詰まりが打破されるのか,ぼくにはさっぱりわからない.