2018年11月30日金曜日

用例採取: "I'm switched on all the time"

換喩の事例:
"I never switch off – I’m switched on all the time, even when I’m asleep."(電源はぜったい落とさない――いつだって電源を入れてる.睡眠中もだ.)
(Distraction Trap)
スマートフォンをいつも手放さないという若者の話に出てくる一文だ.文脈から,ここで電源を落とさない・電源を入れっぱなしにしているモノはスマートフォンなのが明らかだけれど,この箇所では I'm switched on と受動態で当人 'I' が switch on の主語(被動者役割)になっている.


そんなに科学用語を「隠喩」として使いたいなら

いったん直喩で言ってみればどうか.

2018年11月28日水曜日

Bookmark: TBSラジオ,「スペシャルウィーク」をやめる

ラジオはテレビの視聴率にあたる「聴取率」を毎日測定していない。2カ月に1度、1週間を対象にし、各時間帯でどの番組を聴いていたか、というアンケートを行って算出され、この数字が番組編成や営業活動の参考にされる。TBSラジオは2001年8月から、この聴取率で業界トップを守っている。しかし、ネットでラジオ放送を聴けるサービス「radiko.jp(ラジコ)」が普及し、ここを通じての聴取者数はリアルタイムに局側が実数を把握できるという実態があるという。

こちらも:

用例採取: "a certain availability"(可算の捉え方に注意)

地味だけど,「おや」と思った例:
"Other people expect a certain availability from you on email." (Distraction Trap)
オックスフォード学習英語辞典を引くと,availability は不可算名詞と記載されている.一方,上記の例は明らかに "a ... availability" と可算用法になっている.ということは,不可算用法の場合とは語義が変わっているはずだ.不可算なら water(水)のようにぼんやりと境界のない物質のように捉え,可算なら a cat(猫)のようになんらかの境界があってひとつのまとまりをなすモノのように捉える,というのが定番だ.

Bookmark: なぜコロンビアは100万人ものベネズエラ人を迎え入れたか (Vox)

ニュース解説サイト Vox の現地取材シリーズ Borders がベネズエラのハイパーインフレによる生活難から国外に逃れる人々と,彼らを迎え入れるコロンビアの人々の様子を伝えている:

2018年11月26日月曜日

Bookmark: YouTube Music

「YouTube Music」は、なし崩しに「音楽再生の場」となっていたYouTubeをきちんとした音楽サービスへと変化させるための取り組みである


2014年11月、ソニーのIR関連イベントにて、当時同社音楽事業のトップであったマイケル・リントン氏は、「無料サービスで有料サービスと同じ売り上げを実現するには、7倍の再生量が必要」だと明かしている。
 全米レコード協会(RIAA)の調べでは、2018年上半期の場合、音楽関連事業の売り上げのうち75%がストリーミング・ミュージックからもたらされている。
 そして、有料サービスからの売り上げは、無料・広告ベースのサービスからの売り上げの「約6.9倍」となっていて、予測の正しさが裏付けられている。

2018年11月25日日曜日

Bookmark: 「戦争による死者の9割は市民――その統計はほんと?」(BBC)

BBC Radio4 のポッドキャスト More or Less: Behind the Stats の力作エピソード:


「戦争による死者の9割は市民」という主張はウプサラ大学(スウェーデン)の報告で強調されたものの,それを裏付ける証拠はほとんどないのだという.

お月様


三脚ないので,手持ちで撮影.200mm 望遠でもそこそこ撮れるものなんだなぁ.

2018年11月21日水曜日

睡眠大作戦

よく眠れないと気分も体調も最悪になるので,とにかく平均7時間の睡眠を確保すべくがんばってる.

2018年11月20日火曜日

G.レイコフ「遂行的従属節」(1984)

さっきの例文採取 "Maybe don't try to..." に関連して,大昔の論文を引っ張り出してみた.

用例採取: "Maybe Don’t Try to ..."

法副詞 maybe を命令文と組み合わせて用いている例.
"Maybe Don’t Try to Bend Your iPad Pro Like a Paperclip"(原文
類例を探してみると,けっこう出てくる: 



日本語で考えてみると,法副詞は命令文と相性がよくない:
  1. (*たぶん)クリップみたいに iPad Pro を曲げないこと
  2. (たぶん)クリップみたいに iPad Pro を曲げない方がいい.
上記の "Maybe don't ..." の命令文は,もしかすると意味的には「~しない方がいい」という平叙文に近い意味に解釈されるために,法副詞との組み合わせが容認されるのかもしれない.

追記レイコフの「遂行的従属節」を参照するとよさそうだ.

2018年11月19日月曜日

つねに開いておくウェブサイト,時間帯を限定するウェブサイト

ぼくが PC のブラウザでいつも開きっぱなしにしておくのはこういうページ:
  • Habitica(タスク管理)
  • Googleカレンダー
  • Google Keep(メモ)
  • Google Drive 

タスク管理ツールはどんなときでも作業を進めていく指針をくれるし,新しいタスクも随時これに追加していくわけで,当然のようにいつも開いている.ちなみに,習慣づくりやタスクの管理には Habitica だけを使っている.Todoist とか,他にもいいツールはあるんだろうけれど,いまのところ移行は考えていない.まして,複数のツールを使い分けようとは思わない: タスクも ToDoリストも,1カ所にまとめないとダメだ.

新しい用事ができたときや,やるべきことを具体的な日時をきめて自分に割り振るために,カレンダーはすぐに参照できた方がいい.あとで読むモノをメモしたりちょっとしたリマインダをかけたりするのには Google Keep が手頃

Google Drive はドキュメントやスプレッドシートをいじらないといけないことが多いので開きっぱなしにしてる.

逆に,開く時間帯を制限してるのはこういうページだ:
  • gメール / InBox 
  • Tweetdeck / Twitter

暇つぶしでしかない Twitter にかぎらず,メールやメッセージアプリを見るのは決まった時間帯に限定している.少なくとも,朝一番にいきなりメールチェックをはじめたりはしない.

用例採取: "Later this morning, I'm honored to be delivering ..."

これも進行形のネタ:
Later this morning, I'm honored to be delivering the keynote address at the Inman Real Estate Connect conference here in San Francisco (...)(このあと午前中に,ここサンフランシスコのインマン・リアル・エステート・コネクト・カンファレンスで光栄にもキーノートスピーチをさせてもらうことになっている.)
(Marlin Mann, "On Peanut Shells and Email Archiving," 43Foklders, Jul. 24, 2018.)

I'm honored to deliver ... でもよさそうなものだけれど,進行形で I'm honored to be delivering ... となっている.

やっぱり,will be V-ing と同様の「なりゆき」「予定」の意味を表す構文になっているように思う.だとすると,will にかぎらず,未来の意味 + 進行形という組み合わせで「なりゆき」「予定」(と呼ばれる意味)が生じることになる.

2018年11月17日土曜日

用例採取: "you can be doing your most difficult task"

この進行形がなんなのか,ぼくにはよくわからない:
"Organize your time so you can be doing your most difficult task at your most productive time."
(The Distraction Trap, p.76)

「時間を整理して,いちばん生産的な時間にいちばん難しいタスクができるようにしよう」ということなんだけれど,どうして 'so you can do ...' ではなく進行形なのか,ちょっとわからない.

法助動詞の will には,「なりゆき」を表す will be V-ing の構文がある.もしかすると,それとの類縁があるのかもしれない.

いまさらだけれど,法助動詞その他の要素と進行形との組み合わせには,一筋縄でいかない部分があるようだ.


追記: 同じく The Distraction Trap から同様の例を採取した:
I can be having a really great evening out, or even a quiet one at home, and my phone will flash up that I’ve got an email, or a text, and I’ll read it.

▼ 関連ネタ



気になった記事やふと浮かんだ疑問は Google Keep に飛ばして後回しにする

当たり前のことができてない大人による,馬鹿みたいな苦難のメモだよ.

2018年11月16日金曜日

Bookmark: これまでで最高の iPad pro, 所詮 iPad pro

というレビュー動画を MKBHD が公開してる


Gizmodo のレビュー記事も似たような趣旨だ:



「われわれとしては給付付き税額控除制度の導入を主張できない」

岩田規久男『日銀日記』(Kindle版,筑摩書房,2018年),2015年1月26日の記述から抜粋:
「(…)消費税は逆進的で所得再分配上は望ましい税ではない.それでもなお消費税増税を主張するのであれば,その逆進性を縮小するために給付付き税額控除制度を導入すべきだ(…)」と,新聞や通信社の記者と会うごとに述べている.この私の提案に対しては,私が話した記者に限れば,賛成が多い.しかし,彼らは異口同音に,「給付付き税額控除制度を導入すると,軽減税率は不要になり,新聞は軽減税率を受けられなくなるので,われわれとしては給付付き税額控除制度の導入を主張できない」という.

Bookmark: 生産性向上へのインセンティブ,それは…

就業者の2割を占めるパート・バイトの賃金上昇は、働く人々の生活水準向上や消費底上げなどプラスの側面が大きい。一方、企業や事業者は必要な人材を確保するためのコスト増を迫られる。自動化などを通じ生産性を高めなければ1000円を超す時給が常態化する時代を生き残れない。
吉野家ホールディングスは18年3~8月期連結決算で最終損益が8億5000万円の赤字(前年同期は13億円弱の黒字)になった。売上高は過去最高水準だったが、人件費が想定以上に膨らんだ。「未曽有の人手不足」(河村泰貴社長)への対策として、配膳などをセルフ式にして効率を高める新型店舗を来期から年100店ずつ増やしていく計画だ。
ファミリーマートは全国の従業員を対象に家電を割引販売して人材を確保する一方、業務の効率化を進める。商品の検品作業を廃止したほか商品を並べやすい陳列棚を導入。省力化で1店舗1日あたりの作業時間を最大3.5時間減らす効果を見込む。効率化へ向け、19年2月期の既存店の投資額を600億円超に倍増する。イオンもセルフレジの導入など自動化投資を拡大する。

この逆方向はどんなものだろう?
「日本人は(…)西洋の科学技術の設計をあらためて,自分たちの低賃金経済でコスト効率のよいものに仕立てた.製糸業に携わっていた商家の小野一族は,築地に製紙工場を建設する(…)使用したのはヨーロッパ製品に案を得た機械だったが(…)そうした機械は金属製ではなく木製で,動力は蒸気機関ではなくクランクを回す人力だった.このように西洋の科学技術を仕立て直すのは,「諏訪式繰糸機」にも見られるように日本で一般的に行われた(…).
こちらは,ブラッドフォード・デロング「明治維新:《ユートピアへの蝸牛の歩み:長い20世紀の経済史》抜粋」から引用.

オンライン授業というか文化講座というか

17時をすぎたので Twitter のフィードを眺めてたら,クルーグマンがオンライン授業の宣伝RT/ツイートをしてた:

用例採取:「某こそが大奥で密かに上様に毒を盛っていた張本人やもしれませぬぞ」

これも,話し手以外の視点から「やもしれない」を解釈しないといけない例:


(よしながふみ『大奥』15巻,p.101)

もちろん,話し手じしんは自分が「張本人」かどうかを知っているのだから,話し手が「やもしれない」と推測していたり張本人かどうかに確認がもてなかったりするのはない.

2018年11月15日木曜日

Bookmark: Vox動画「コルトレーン "Giant Steps" 解剖」

同じくニュースサイト Vox の音楽ネタシリーズ "Earworm" で,ジョン・コルトレーンの "Giant Steps" のヒミツを解説する動画を公開している:


ぼくは音楽がさっぱりダメな子なのでこれでお勉強するのじゃ.

Bookmark: Vox動画「ラーメンが刑務所で重宝されるワケ:お金そのものになるから」

ニュースサイト Vox の YouTube動画:
牢屋や収容所の貨幣ネタといえばタバコがすぐに思い出されるけれど,タバコが禁じられていることもあって,いまや即席ラーメンが刑務所の囚人たちのあいだでお金そのものになっているんだそうな.おもしろーい.

英語でよければ,ティム・ハーフォードの『覆面経済学者の逆襲』(未邦訳,2013年)の第6章でも,捕虜収容所をおそった「不況」を扱う中でタバコが貨幣になってた話を語っている.

2018年11月14日水曜日

VAIO A12 を見てきた

梅田まで出かけたついでに,ソニーストア大阪VAIO A12 を見てきた.とりあえず「スタビライザーフラップ」を自分で触って確かめてみたかったからだ:


――なるほどなるほど.

いや,フラップの動きを動画で見るだけならこっちの記事を見れば済むんだけども:

2018年11月12日月曜日

マイケル・スワン「言語教育について私が信じていること」

すぐれた英語文法・語法の解説書 Practical English Usage で知られるマイケル・スワンがそういう文章を書いている:



2018年11月9日金曜日

ピンカー「政治的正しさがトランプを当選させた面もある」(大意)

少し前のインタビューで,ピンカーがそういう話をしている.
  • "Steven Pinker on Sex Differences, Human Nature, and Identity Politics (Pt. 1)" The Rubin Reports (YouTube), March 3, 2018;28:05あたりから.

2018年11月8日木曜日

"biology" は「生物学」とはかぎらない

下記の文を考えてみよう:
"human behavior is the product both of human biology and human culture"
(Donald Brown, Human Universals)

これをついついこんな風に訳したくなるかもしれない:
「人間の行動は,人間の生物学と人間文化の両方の産物だ」
でも,ちょっと考えるとおかしい――「生物学」という学術分野が,人間行動を生み出すの?

てきとうな辞書を引けば,「生物学」とは別に「生体の仕組み」くらいの語義が解説されているのがわかる.たとえば,オックスフォード学習者向け英語辞典には,この2つがでてくる:
 the scientific study of the life and structure of plants and animals(植物や動物の生態や構造の科学的研究;「生物学」)
the way in which the body and cells of a living thing behave(生き物の身体や細胞のふるまい方;「生き物の仕組み」)
というわけで,さっきの英文は,こんな風に訳す方がマシだ:
「人間の行動は,人間の生体の仕組みと人間文化の両方の産物だ」
学問分野と(その分野で研究する)仕組みの多義性は他の単語でも見られる.たとえば economics がそうだ.

2018年11月6日火曜日

2018年11月5日月曜日

SurfaceGo 3週間後のメモ

マイクロソフトさまの SurfaceGo [Amazon] がほどよくコンパクトで USB type C からの充電もできてモバイル的には実にジョリーグッドな一品に思えてならずしばらく物欲を持て余していたわたくしであったが,このたび思い切って 128GB モデルの購入に踏み切ったのであった.

要点

  • すでにOffice付きでも 6万円前後で新品同然のものが出回っている.
  • キーボードの打ち心地はよく配列も標準的.
  • 大きめのタッチパッドはすばらしい.
  • ペンは「ペーパーライク」フィルムと併用すると鉛筆っぽい書き味になる.
  • 少なめのストレージは micro SDカードで補える.

2018年11月4日日曜日

2018秋アニメ

9月開始アニメもすでに4話~5話まで放送・配信されて,見たいものもそうでないものも分かってきた感じ.

2018年11月1日木曜日

ウェストン先生の『論証のルールブック』を7割ほど訳した

アンソニー・ウェストンせんせいのロングセラー『論証のルールブック』第5版をとある授業で学生さまに読んでもらうついでに訳している.いまのところ,第7章までは終わってる.あと,付論の「定義について」も訳してある.

  • 第1章 短い論証
  • 第2章 事例による論証
  • 第3章 類推による論証
  • 第4章 権威による論証
  • 第5章 原因についての論証
  • 第6章 演繹的な論証
  • 第7章 長文の論証
  • 第8章 論述文
  • 第9章 口頭で論証を述べる
  • 第10章 公開討論
  • 付論I: よくある誤謬
  • 付論II: 定義について
  • 参考資料(リソース)

古い第3版は翻訳書が出てる:

  • 『論理的に書くためのルールブック』(古草秀子=訳,PHP,2005年)

じゃあ第5版をわざわざ訳す意義はあるのかっていうと,それなりにあるとぼくは思ってる(ので訳してる).まず,新しい版で加えられた章がある.口頭発表のやり方や公開討論についての助言(第9章,第10章)がそれだ.また,本文もけっこう手が加えられている.あと,これは好みの部分も大きいけれど,古草先生の訳文は割とかたい文体にしてある.でも,ウェストン先生の語り口はもうちょっと軽妙だ.ぼくとしては,そういうスタイルを日本語でも活かした方がいい本になると思う.

ともあれ,いまのところどっかから翻訳書が出版される予定はないし,たぶんバカ売れするものでもない.それでも,長らく読まれてるだけのことはあるコンパクトな良書で,新規の訳書にも意義はあると思うんだけど――どんなものでしょうね?
 
追記: 旧版の訳者でもある古草先生の訳で第5版の翻訳書も出たYO! [Amazon]

通勤時間に写真散歩する

通勤はひたすら電車とバスで座りっぱなしなので,せめてその前に少し遠回りして散歩することにした.ポッドキャストを聞きつつ,てきとうにシャッターを切りながら歩く.