2018年11月28日水曜日

用例採取: "a certain availability"(可算の捉え方に注意)

地味だけど,「おや」と思った例:
"Other people expect a certain availability from you on email." (Distraction Trap)
オックスフォード学習英語辞典を引くと,availability は不可算名詞と記載されている.一方,上記の例は明らかに "a ... availability" と可算用法になっている.ということは,不可算用法の場合とは語義が変わっているはずだ.不可算なら water(水)のようにぼんやりと境界のない物質のように捉え,可算なら a cat(猫)のようになんらかの境界があってひとつのまとまりをなすモノのように捉える,というのが定番だ.


さて,不可算用法での語義を辞書がどう解説しているか見てみよう.まず,コウビルド英語辞典の解説:
  • 「利用できるという状態,質」("the quality or condition of being available")
次に,オックスフォード学習英語辞典の解説:
  • 「あるものが入手したり買ったり見つけたりできるという事実」("the fact that something is possible to get, buy or find")
  • 「ある人に会ったり話したりできるという事実」("the fact that somebody is free to see or talk to people")
この2つ目の語義「会ったり話したりできるという事実」が,冒頭の用例に関連している.もう一度,例文を見てみよう:
"Other people expect a certain availability from you on email." 
メールだと他人はキミがそれを読んで返事できると期待する,くらいのおおまかな理解でも間違いではないだろう.でも,これだと "a certain availability" の可算の意味がくみ取れていない.ここでの "a ... availability" は,会ったり話したりメールに対応できるという事実そのものではなくて,そういう対応に割ける余裕・時間のことだろう:それなら,数えられるまとまりという捉え方にふさわしい.つまり――
「メールだと,他人はキミがいくらか暇を割いてくれると期待する」
――こんな具合に訳すのがちょうどいいんじゃないかと思う.

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