2017年8月21日月曜日

clip:「諸悪の根源が消費社会論にあるような気がしてきた」

北田暁大・栗原裕一郎・後藤和智『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』(イースト・プレス,2017年,pp.186-188)から:

にっき

ツイッターに流してもしょうがないことをきらくに書けるのがチラシの裏の自由さ.

  • こまめに不用品処分を続けてるのに,なかなか本棚のなかみを追放しきれない.まだこんなにモノがあるのかと,感心すらする.
  • ともあれ,部屋が本や漫画や書類の束で埋まってた暮らしは,はるか大昔のことになった.ドキュメントスキャナは偉大だ.あと,数テラバイトていどのストレージを個人が気軽に扱えるようになったことも大きい.しかも,NAS を導入すれば,ネット経由で蔵書にアクセスできる.
  • いま調べてみたら,スキャンした本・漫画は合計で 813GB でしかない.
  • 本や漫画を裁断してスキャンする以外でも,ちょっとした書類や授業関連の紙の山をどんどんデジタル化できるのは本当にありがたい――最初から紙じゃなくてデジタルにできてればそれがベストだけど,もうしばらく続くだろう過渡期を乗り切るまでの心強い味方だ.
  • ドキュメントスキャナは4万以上するお高いガジェットだけど,スマホとちがって長持ちする.いま使ってる Scansnap S1500 はどうやら 2009年3月に導入したらしいので,かれこれ8年以上も使っている.2年おきくらいで消耗パーツの交換は必要になるけど,たかがしれている.実は費用対効果でみるととてもお安い投資じゃなかろうか.

clip: 「日常生活のなかのカリスマ」心理学研究

日常生活での「カリスマ」を構成する要因は「他人への影響力」と「人当たりのよさ」(affability) の2つではないかという心理学研究をイギリス心理学会ブログが紹介してる:



2017年8月19日土曜日

SEP「タイプ vs. トークン」§2.1

前回訳したセクション 1 の続きで,今日はスタンフォード哲学事典「タイプ vs. トークン」のセクション 2.1 を訳すよ.

その後の体重

7月31日時点で,かろうじて 60kg 台を切るところまで体重をじわじわ落としていた.その後も微減を続けている:

▲ 2016の7月30日から現時点までの体重推移

このところ運動不足なのは否めないけど,増加に転じなかったのでよしとする.

clip:「ウォーターマークを取り除くなんてかんたんなんですよ」

というグーグルさんちの研究を紹介してる動画:



ウォーターマークはたいてい使い回されてるので,大量のウォーターマーク入り画像からソフトウェアにもとのウォーターマークを推定させて,それを使って今度は画像からウォーターマークをとりのぞく,というお話.

(via The Verge)

SEP「タイプ vs. トークン」§1

スタンフォード哲学事典からのゲリラ訳だよ.
  • Wetzel, Linda (2006). "Types and tokens," Stanford Encyclopedia of Philosophy

以下,セクション 1 の抄訳:

2017年8月18日金曜日

意味論入門一歩手前: レッスン #4

意味論の基本的な考え方をごく簡略に解説するうえでは,今回の内容は完全に脇道です.しかし,世間に出回る哲学めいた議論のなかには,ごく基本的な区別すらおろそかにして読者を混乱させるばかりか,書いている当人すら首尾一貫しない考えに陥っている事例があります.そうした事例を他山の石としていくらか学ぼうというのが今回の趣旨です.

2017年8月17日木曜日

"People must learn to hate": 義務の must ではなさそう

これまででいちばん多く Like がついた」というオバマ前大統領の一連のツイート(ネルソン・マンデラの引用)は,日本語ニュースでも各所で紹介されている.心動かす発言・引用だ.

がんばらない Habitica: 家事からはじめてみよう

生活無能力者がタスク・習慣を管理するアプリ Habitica を使ってどうにか日々を送ってるお話だよ:

今回も,よわいいきもののお仲間を読者に想定して,かんたんな使い方のおしゃべりをしよう.あまり志の高いことは考えずに,とりあえず,やれば楽に終わるけどめんどくさい家事を「習慣」に登録するのをおすすめしたい.

にっき


よわいいきものの記録.

2017年8月15日火曜日

にっき

低糖質なのが売りだというこんにゃく麺を試してみたよ.

意味論入門一歩手前: 余談: なんでタイプ/トークンを言わないんですか?

こういうご感想をいただきました:
一連のポストでタイプ/トークンの区別を導入していない理由について,簡略な説明ともうちょいめんどいの2段階で説明をします.

Android版 Blogger アプリはダメな子だ

Android版の Blogger アプリから書いてみる。…使いにくいなこれ。エディタで太字と斜体は指定できるけど、他はリンクを貼るくらいしかできない。もしかして HTML じかに打てってことなんだろうか。

<blockquote/>
こんな風に blockquote したりするにはじぶんでタグを打つのかな。
</blockquote>

公開時にどんな表示になるのかプレビューで確かめることもできないっぽいぞ。

ためしに投稿してみたら、ご覧のとおりになっていた。このアプリもしかしてゴミなのでは…?

Android 端末から投稿するにしても、ブラウザ上で編集する方が格段にマシだ。長らくインストールするだけで放置してたアプリは消した。

2017年8月14日月曜日

意味論入門一歩手前: レッスン #3

前回のポストでは,「何人かは殺してますよ」という同じ文がいろんな文脈で異なった意味,異なった「真理条件」をもつのを観察しました.
  • 板野氏の発言の真理条件: 板野一郎氏が『イデオン発動編』で作画を担当したシーンで作中人物が「何人か」死んでいる.
  • 犯人氏の発言@場面 A の真理条件:この当該の犯人氏が,発言時点よりも前に,何人かを殺している.
  • 敏腕弁護士の発言@場面 B の真理条件:この敏腕弁護士氏が,発言時点よりも前に,死刑執行の見込みが大きい容疑者たちの弁護を何回か担当し,そのうちの一部の裁判で容疑者が死刑判決を受け,のちに死刑執行されている.
発している文そのものは同じなのに,場面・文脈によってその真理条件はこれだけ異なっていたわけです.

さて,以上の観察を踏まえて,前回はこんな問いを出しておきました:
  • 問い 3: 板野氏の発言,場面 A の発言,場面 B の発言それぞれについて,「何人かは殺してますよ」という文そのものが貢献しているのではない真理条件の要素を洗い出してみよう.

今回は,これの答え合わせです.

2017年8月12日土曜日

にっき

よわいいきものの記録.
  • 本や漫画をため込まないうちにさくさく裁断してスキャンしてる.一昔まえはよく「自炊」って言いましたな.
  • 裁断・スキャンしてる間はべつに頭は使わないので,ポッドキャストや動画を聞いてる.今日は,こんな動画を聞き流してた: "A Discussion of Artificial Intelligence with John Searle and Luciano Floridi" ――ジョン・サールせんせとルチアーノ・フロリディせんせの討議だ(2016年).それぞれ30分のプレゼンをやって,そのあと議論・コメントをやってる.サールせんせは,よくもわるくもいつもどおりで,「認識論的な主観性・客観性と存在論的な主観性・客観性を区別するのじゃ」とか「中国語の部屋」とか,まあそういうおなじみのお話.おもしろいけどね.一方,フロリディせんせは,なんか新しいことを言おうとしてるっぽい(聞き流してるせいでちゃんと頭に入ってない).このせんせは,オックスフォード大学出版会の Very Short Introductions シリーズで『情報』を書いてた先生だね.
  • プリプリちぃちゃん』の新エンディング曲「フワリ、コロリ、カラン、コロン」を買ったぞ! 

意味論入門一歩手前: レッスン #2

前回のポストでは,次の発言を題材にして,2つの問いを出しておきました.
小黒 『発動編』で、板野さんは人物は描いてないんですか。人が死ぬところとか。
板野 いや、何人かは殺してますよ
小黒 あ、やっぱり。
(「animator interview 板野一郎(3)」WEBアニメスタイル,2005年1月28日)
  1. この板野さんの発言の「殺してますよ」はどんな意味だろうか? 現実にどんな出来事があったとき,この発言は事実を言っていることになるだろうか? たとえば,板野さんが出刃包丁で知り合いのアニメ監督やプロデューサーを「何人か」刺して殺した事実があったとき(スミマセン),この発言は事実を言っていたことになるだろうか? 
  2. 一方で,それとはちがう意味でこの「何人かは殺してますよ」を発する場面には,どんなものがありうるだろうか? 具体的にどんな人がどんな状況で発する場面なら,上記のインタビューとはちがう意味になるか,考えてみよう.
今回は,この問い 1 & 2 の解説編です.


2017年8月11日金曜日

意味論入門一歩手前: レッスン #1

まったくの初心者やぜんぜんちがう分野の人たちが,言語学での意味の考え方にかるく触れられる文章を書いてみたいと思います.言葉の「意味」を扱うためのいろんな切り口を紹介していきますわよ.

なんでかんじんの言語をみようとしないんだろう?

このところえんえんととりあげてる「パフォーマティブ」の件の続きというか,なんというか.『LGBT を読みとく』の著者の森山先生がこういうツイートをしてる:

調べるべき項目をわけるといいと思う:
  1. 森山さんがバトラーを誤解なく要約しているかどうか(「私がバトラーの要約に失敗しているのか」)
  2. J.バトラーは言語行為論を正確に理解しているか(「バトラーの言語行為論理解が間違っているのか」)
  3. バトラーの言語行為論(?)は言語のありように合致しているか
  4. 森山さんがまとめた「言語行為論」の要約(バトラーの要約であれなんであれ)は,言語のありように合致しているか

このうち,上記のツイートは (1)-(2) を考えていて,(3)-(4) を考慮していない.「パフォーマティヴ」どうのこうのの話に言語の具体的な話がほとんどでてこないのとあわせると,どうして言語についての話なのにいっこうに言語のありように目を向けようとしないのか,ぼくは不思議に思う.

ねんのために付け加えると,ぼくは言語行為論の専門家ではないし,ぼくじしんも専門家のひとの考えを知りたいと思ってるよ.

2017年8月10日木曜日

「反復可能性」は要注意っぽい

チラシの裏になんか書くと他人さまにいろいろ教えてもらえるね:

「言語学・語用論・言語行為論の外で『パフォーマティヴ』って言うな」って話じゃないよ?

ツイッターで,asaokitan先生がこういう疑問をつぶやいていた:

言われてみると,ぼくもよくわからない.(・ㅅ・)

J.L.オースティンが「パフォーマティヴ(行為遂行的な発話)」を論じたもともとの分野である言語哲学や,あるいは言語行為論を含む言語使用を研究している語用論の外で,「パフォーマティヴ」という用語を行為遂行的な発話とはちがう意味で使うのはいけないかどうか,ぼくなりのおおまかな基準を提案してみたい.

にっき

ぼんやりした人間の記録.
  • Google Fit のデータをお手軽に他でも使えないかなぁとエクスポートの方法を調べてみると,とりあえずグーグルせんせいの Takeout から一括ダウンロードできるのはわかった.でも,そういうんじゃないんだよなぁ.
  • 他のアプリと連携させるんだったらこれでもいいんだけど.
  • いちおう夏休みなので,しばらくお弁当をつくらなくてすむ.前期期間中は,お手軽なサンドイッチをよくもっていった.てきとうな食パンかバゲットに,バターをぬって(贅沢!),てきとうな具をはさむだけでできる.しかも,食べ終われば包みのラップを捨てておしまいなので,帰路の荷物が減る.弁当箱だとそうはいかない.手抜きサンドイッチなので,手軽にできるのがなにより大事だ.スーパーで売ってる処理済み野菜のパックは割高だけど,手間がかからないという点ではありがたい.気が向けばトマトやたまねぎやきゅうりを追加ではさんでもいい.
  • 週末につくりおきでヨーグルトサラダチキンを用意しておけば,ハムとはちがったボリュームのあるサンドイッチをたのしめる.主な材料は鶏胸肉で,お安く手に入る(100gあたり60円~70円くらい).他に必要なのはたまねぎとヨーグルトくらいだ.あっさりした味なので,普段のおかずにするとあまり主食のごはんをぱくぱく食べないですむのが地味にいいところ.

森山「パフォーマティヴ」論議の主眼と論拠はなんだろう

はぁい,パフォーマティブさんだよ.

こんにちは.今日も引き続き,森山至貴『LGBTを読み解く』を素材に使って哲学もどき文章で練習問題をやっていきましょう.

さて,前回のポストでは,「パフォーマティヴ」を解説したセクションについて,次の問題を出していました:
【問題】:このセクションで紹介されている議論の主眼と論拠を抽出してみましょう.
著者による「パフォーマティヴ」解説は,そもそも用語の意味を暗黙のうちにズラして議論を進めているという大きな欠陥を抱えているのですが,そこはもうわかったからよしとして,とにかくこのセクションで言おうとしている主眼とそれを支える論拠を整理して協調的に文章を読む練習をしてみましょう.

はじめにお断りしておきます:書いている自分でもうんざりする内容となっております.「あっ,ウザいなこれ」と思った方は,途中をすっとばして最後の「かなしいまとめ」に飛んでください.

2017年8月9日水曜日

にっき


  • 今日は,この春にやってたアニメ『フレームアームズガール』のラジオ配信日だよ.やったね!
  • 昨日 7.1.1 アップデートがきたおかげで,Xperia Z4 タブレットもいちおう「マルチウインドウ」という名の2画面分割ができるようになった.これで,資料を見ながらかるくノートを取ったり,辞書を参照しながら読み書きがしやすくなった.以前から「スモールアプリ」のメモを使えば資料を見ながらメモを取る程度はできていたとはいえ,大きなウィンドウが使えるのはありがたい.ただ,たとえば Amazon Kindle アプリが画面分割に対応していなかったりと,イマイチ感は否めない.Xperia Z4 タブレットはよくできた端末だし純正キーボードは出色の出来なのだけれど,Android のタブレット対応が進んでいないために全体的な使い勝手がいまひとつになってしまっている.Habitica なんて,横画面に対応してないので強制的に縦表示にされてしまうし.
▲ 画面分割して左に Google Play Books,右に Evernote を開いた状態

  • スマートフォンとタブレットでの日本語入力をもうちょっと快適にしたくて ATOK for Android Professionals を検討してるのだけど,どうもレビューを見てると「重い」という感想が多くて二の足を踏んでいる.

「こわれてしまった我らの経済を1枚の単純なグラフに見る」

――と題した『ニューヨークタイムズ』記事を,デイヴィッド・レオンハートが書いている.

記事冒頭の画像(日本語註釈は引用者によるもの):

2017年8月8日火曜日

にっき

「パフォーマティブ」と言わずに「行為遂行的」って言っておけばいいんだよ

練習問題の解説:意味のすり替えは論証ではないよ」では,「パフォーマティブ」がいつのまにか「発語において約束などの行為をなすこと」から「辞書的な安定した意味に反すること」くらいの別の意味に変わってしまっていることをみた.

おそらく著者じしんも,べつに悪意をもってすり替えたわけではなく,自分ではちゃんと話がつながっているつもりで書いているのだろうと思う.ダメな議論をしているから悪い人だ,なんて話にはならない.


語義を意識しやすい用語を使おう

2017年8月7日月曜日

にっき

練習問題の解説:意味のすり替えは論証ではないよ

昨日の「哲学めいた文章を読む練習問題」のフォロー編.

ここでも,みなさんのお手元に森山至貴『LGBTを読み解く』があって随時参照できることを前提にして,お話をすすめます.(ぼくはKindle版だけを参照しているので,紙バージョンでの参照ページは省略します.)

さて,前回はこういう練習問題を出していました:
問題】筆者がもちいる「パフォーマティブ」は,当初,約束のような行為を遂行するという意味で導入されていますが,その後,この短いセクションのどこかで意味が変わっているようです.「発語においてなんらかの行為を遂行する」という意味でなくなった箇所はないでしょうか.候補を見つけ出してください.また,その箇所での「パフォーマティブ」は,パラフレーズするとだいたいどんな意味でしょうか.

2017年8月6日日曜日

哲学めいた文章を読む練習問題

昨日の「パフォーマティブ」ネタの続きでもあるYO.

森山至貴『LGBTを読み解く』(ちくま新書,2017年)が手元にある方は,第6章「5つの基本概念」から,「言語は綻びによってこそ可能になる」の小見出しではじまるセクションで,ひとつ練習問題をやってみませんか.

このセクションでは,J.L.オースティンを引きつつ「パフォーマティブ」「コンスタティブ」の対をおおまかに解説したあと,デリダが「辞書的な意味というものに疑問をなげかけ」た云々の話をはさんで,その後の「男らしさ」「女らしさ」もパフォーマティブである,というセクションにつないでいます.

問題】筆者がもちいる「パフォーマティブ」は,当初,約束のような行為を遂行するという意味で導入されていますが,その後,この短いセクションのどこかで意味が変わっているようです.「発語においてなんらかの行為を遂行する」という意味でなくなった箇所はないでしょうか.候補を見つけ出してください.また,その箇所での「パフォーマティブ」は,パラフレーズするとだいたいどんな意味でしょうか.

問題のフォローはまた後日.

Update: 解説編を書きました

にっき

  • 8月に入ってもう1週間が過ぎようとしているのに,成績評価のこまごまとした作業をいまだに引きずっている.かなしい.でも,Habitica におすがりしてがんばってタスクをつぶしてるよ.
  • 「パフォーマティブ vs. コンスタティブ」の区別がなぜダメなのかという話も,このチラシの裏に書いておいた方がいいんだろうな.まあ,そのうち.

2017年8月5日土曜日

「パフォーマティブ」っていいたい紳士淑女のみなさまへのご提案

ジェンダー論まわりでなんか「パフォーマティブ」って言いたいみなさまに,言語行為論をいくらか知っている人間からご提案させていただきたい.

clip: Radiohead "videotape" のヒミツ(動画)

ニュースサイト Vox の YouTube チャンネルがたまにつくる文化ネタも,なかなかおもしろい.新しくアップロードされた動画は,Radiohead "Videotape" の隠れたリズムについて解説してる.ぼくは音楽がてんでダメで,とてもじゃないけど「なるほど全部わかった!」とはならないけれど,それでも興味を惹かれる内容だった.




にっき

  • 先日,雑談のなかで「高等教育で《論理学》を教えて欲しいという要望は,実のところレトリック教育を求めているのではないか」という話がでてきて,なるほどそうかもしれんなぁとはっとさせられた.
  • 駄ニメストアで,『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』シリーズが見られるようになった.1~2話は映画館で見ていたけど,その後を追いかけられずにいたので,この機会によろこんで見ている.ありがたい.

「無敵」の人になるための3点セット

3つそろえて,無敵の邪悪なひとになろう!
  • テロリスト的蒙昧主義:わざと曖昧模糊とした書き方をして,なにを言ってるのかわかりにくくしよう! キミの批判者が「あいつはこういうことを言っている」と言ったらこう言い返してやろう――「あなたは私を理解していないよ.あたまがわるいね!」
  • 「泥壕」戦術:キミの批判者に対しては,「この議論にはこれだけの膨大な文献の歴史と蓄積がある.しっかり読んで出直してきたまえ」と言ってあしらおう! 相手がほんとに読み始めたら,みずから泥壕にハマってくれたようなものだ.やったね!
  • グル効果:とても上手くいったときには,キミの曖昧模糊とした言動に深遠な意味を読み取ろうとしてくれる集団がつくれるかもしれないぞ! ただし,深読みに誘導できるだけのの地位や権威や「カリスマ」が必要だけどね!

もちろん,よいこはこんな手を使ってはいけませぬ.

一方で,この3つと似て非なるものとの区別を忘れてはいけない.
  • 明快な文をただ誤読している人への指摘:明快な文についてあからさまな誤読をして世間に広め,まちがいを指摘されると逆にキレる,という手合いもいるかもしれないね.「きみは誤読しているよ」という指摘がいつでもテロリスト的蒙昧主義とはかぎらない.
  • そうは言っても文献は読まねばならん:どんな分野でも年数が経つにつれて文献が積み上がっていくのは当然だ.「泥壕」について書いてるノア・スミスがリンク先で最初に言っているように,議論の参加者に基本的な研究文献の知識が足りないせいで支障をきたすことも大いにありうる.そこで,ただの泥壕とそうでない研究文献の蓄積を見分ける経験則が「論文2本ルール」だ.相手がいう「膨大な研究文献」から模範・代表といえる論文を2本提示してもらう.立場が逆なら,そういう論文を2本,自分がスイとお出しできるのがのぞましい.
  • 協調的に意味をくみとる:グル効果は,コミュニケーションにあたって協調的にふるまうことの副作用,あるいは解釈における善意の原則の暴走と言える.だからといって,いろんな議論で他人の言葉を解釈するときに「この文脈でそういう解釈はありえないだろう」といった善意を発揮するべきでない,という話にはならない.

2017年8月4日金曜日

にっき

  • Habitica を使って,Twitter タイムラインを見ないよう自分に仕向ける」に,設定手順を追記した.かなり PC 初心者向けの書きぶりにしてみたけど,「あんまりブラウザで Twitter みないようにしよう」って人はそもそも PC にある程度詳しいはずなので,意味のない文章になってしまった.どこかで学生さまにおすすめするときには流用できるかもしれない.

2017年8月2日水曜日

がんばらない Habitica: 水回りをこまめに掃除する

生活無能力者の苦闘の記録だよ.

台所まわり,とくにシンクはこまめに掃除しないとすぐに秩序崩壊してしまう.食器洗いをするのは当然として,周囲の水気・油汚れをこまめにとってやるのが欠かせない.とくに夏は,シンクに腐敗物や水気を残すとあっというまに小バエの温床になる――ある日ふとシンクの隅っこをみると,なんか小さくて白いやつがうねうねしてやがってですね…あばばばばば.

あんな悲劇は二度と繰り返してはならぬ.


キッチンタオルは偉大だ


水気を取る掃除には,ふきんよりも紙のキッチンタオルなどが手軽で実用的だと感じている.さっと水気を拭いてそのままゴミ箱に捨てられるのがすばらしい.

きちんとできる人はふきんでもいいんだろうけれど,ぼくみたいなダメ人間の場合はふきんそのものが悪臭の発生源になってしまいかねない.

キッチンタオルは1ヶ月に1ロールくらいのペースで使っている.ガシガシ拭き掃除するときには,使い捨てできる「カット式台ふきん」(ニトリ)がなかなか秀逸だ.


1日に何度やってもいい作業は「習慣」に登録する


食器洗いも拭き掃除も,1日に1回だけやる作業(「日課」)というよりは,食べた直後や気づいたときに何度かやる作業だ.そこで,Habitica の「習慣」に登録する.

にっき


  • Surface Pro4 の赤外線カメラが Windows Hello で起動しない症状がおきて困った.デバイスマネージャーから,「システムデバイス」→ "Surface Camera Windows Hello" のプロパティから「ドライバを元に戻す」を試したところ,また正常に動くようになってくれた.
  • Google Play Music でたまたま引っかかったアルバムを気に入って単純作業中に聞いてる: "8BIT MUSIC POWER - RIKI collection". ぴこぴこ音がたのしい.プロデューサーさんのウェブサイトはここ.ウィキペディアせんせいの記事はこっち. 




2017年8月1日火曜日

例文採取: 長い主語

下線部が主語名詞句だよ:
"Anyone who after the 20th century still thinks that thoroughgoing socialism, nationalism, imperialism, mobilization, central planning, regulation, zoning, price controls, tax policy, labor unions, business cartels, government spending, intrusive policing, adventurism in foreign policy, faith in entangling religion and politics, or most of the other thoroughgoing 19th-century proposals for governmental action are still neat, harmless ideas for improving our lives is not paying attention."
(Deirdre Nansen McCloskey, "Factual Free-Market Fairness," June 2012; via Matt Ridley)

「ATMの普及は銀行窓口係の雇用を減らさなかったみたいだよ」

――というコラムを経済学101に訳した.著者のベッセンせんせいは,ボストン大学の人.
タイラー・コーエンとティム・ハーフォードがほぼ同時期にこの ATM ネタに言及している:
というか,この2人が言及してたので興味をもったんだけども.

あと,ベッセンせんせい出演のポッドキャスト:






2017年7月31日月曜日

にっき

  • いやまあ,過疎地ブログは気楽でいいですな.
  • この4日ほどカゼ引いてた.1シーズンに2回もカゼを引いたのははじめてかもしれない.「夏風邪はバカが引く」ってことは,バカの2乗だなぁ.
  • カゼを引いてもやっつけなきゃいけないタスクはあるので,プチプチつぶしていってる.担当した授業の成績原票を書いて送ったり.
  • なんで採点を手作業でやってるのか,われながら意味がわからん.



clip: 歴史をたどれば保守の提案だったアフォーダブル・ケア・アクト

――という小ネタをクルーグマンがブログに書いている:

clip: 動画: おヒゲの経済学

Vox がやってる YouTube チャンネルから:

がんばらない Habitica: 体重をじわじわ落とす


▲1年間の体重推移 (Google Fit)

習慣・タスクをゲーム感覚で管理するアプリ Habitica を利用して,4月から体重をゆっくり落としてきた.具体的には,4月20日時点の体重が 64.3 kg で,そこからじわじわ減っていって,7月31日時点で 59.9 kg,かろうじて 60 kg 台を割った.もとより気合いを入れてがしがし減量するつもりはなかったので,体重を増やすことにつながる習慣を Habitica で抑制することだけにつとめた.それでも,ある程度は効果があがったわけだ.

2017年7月19日水曜日

Habitica を使って,Twitter タイムラインを見ないよう自分に仕向ける

タスクや習慣を管理するアプリ Habitica には,Chrome ブラウザの拡張機能も用意されている.こいつを使うと,自分が指定した「よくないサイト」を一定時間開いているとペナルティとして「体力」ゲージが減らされるように設定できる.

で,さっそく,twitter と Tweatdeck を登録した.前からツイートは「よくない習慣」にしていたけれど,今回,タイムラインをのぞくこと自体も避けるようにしたわけだ.たかがゲームの他愛ない数値が減るだけとはいえ,ペナルティが目に見えるようになるとそれなりにじぶんの行動は変わるものだ.

そろそろツイッターランドとももっと疎遠になるだろう.


2017年5月20日土曜日

「ピケティ以後」イベント(動画)

2017年5月11日にニューヨーク市立大学で新著『ピケティ以後』(After Piketty) にからめて催されたイベントの動画が上がっている:




ブラッド・デロングのコメント:




2017年4月24日月曜日

神話の反駁はかえって神話を強めてしまうことがある

なぜなら,神話・間違った情報を訂正するときにその神話や誤情報に繰り返し言及することで,読み手の記憶に神話・誤情報の方が強く残ることにつながりうるからだ.――では,どうすればいいか:


(via "More or Less," BBC Radio)



2017年4月21日金曜日

授業ノートはどのようにとってもらうのがいいんだろう

――というのを試行錯誤してる.ぼくがなんとなくツイートしたやつを某先生がまとめていた:
ノートのとり方・とらせ方を考え直すうえで,たいへん参考になったのは下記の本:
  • P.ブラウン,H.ローディガー,& M.マクダニエル『使える脳の鍛え方: 成功する学習の科学』(依田巧巳=訳,NTT出版,2016年)[Amazon]



2017年4月10日月曜日

例文採集: might have done a good thing「いいことをしたことになってしまう」

ポール・クルーグマンのツイートから引用:
「医療保険制度の「死のスパイラル」はぜったいなくちゃだめだ! そうじゃなきゃ,オバマが本当はいいことをしたことになってしまう!」――共和党の立場ではきっとこう言いたいところだろう,というツイートだ.

ここで使われている仮定法過去完了の might have done は,「~だったかもしれない」という推量(認識的可能性)の用法とは言い切れないように思える.

2017年3月22日水曜日

weblog: ポッドキャスト: 芸術の進化心理学

哲学ポッドキャストの Philosophy Bite に,芸術の哲学をやってる Stephen Davies せんせいが登場して,芸術への進化論的アプローチをもろもろ紹介している:



2017年3月19日日曜日

weblog: 「予算案の仮面をかぶった政治キャンペーン」

――と,トランプ政権から発表された予算案概要を Stan Collender という財政の専門家が評しているそうだ.紹介しているのは,例によってクルーグマンのコラム:
今週,トランプ政権は予算案概要を出した――もっと正確に言えば,「予算案」概要だ.本物の予算案なら,お金がどこから入ってきてどこに出て行くか詳しく述べるものだ.今回の発表で取り上げているのは,連邦政府の歳出の3分1ていどでしかないし,歳入や赤字の予測についてはなんにも言っていない.

財政の専門家 Stan Collender が言うように,「これは予算案ではない.トランプの政治キャンペーン広報資料が政府文書の仮面をかぶっているだけだ」

今回のコラムの要点は,タイトルのとおり:「保守派の幻想が現実と衝突する」――大きな政府には無駄だらけなんですけお! おれたちがやればもっともっと無駄をなくせるんですけおおおお! …やっぱりだめだったよ,みたいな.
  • 右派は「政府の支出なんてどうせ無駄だらけ,タフなリーダーならそんなものは根絶できる」という考えを広めてきた.
  • オバマケアを撤廃して「もっとはるかに金がかからずはるかにすぐれた」とトランプは約束したけれど,フタを開けてみれば,代替案では2500万人から医療保険をとりあげる結果になると予測されている.
  • もっと一般的に,連邦政府の支出全体を見れば,防衛費を除くと,大きな割合を占めているのは社会保障給付・メディケア・メディケイド,つまりは何千万人ものアメリカ人にとってきわめて重要な項目だ――皮肉にも,トランプ支持の中核層となってきた人たちも,そこに含まれる.
  • じゃあ,なんで多くの人が「大きな政府」に反対しているんだろう? 
  • まず,世間の人たちは政府支出について,実態から乖離した理解をしている.たとえば海外援助は実際には1パーセント程度のわずかな割合なのに,多くの人はずっと大きな割合だと思っている.社会保障給付やメディケアの受給者のなかには,じぶんがそうした給付を受けていると自覚していない人がたくさんいる.
  • (保守系メディアの力もあって)世間で政府支出の実態がゆがんで理解されていることで,それにつけいる余地が政治家にうまれる:大幅に無駄な支出を削減してみせると請け負って見せるのだ.一方,有権者はそうした削減がじぶんの生活にどう響いてくるのかよくわかっていなかったりする.
  • そう言っていた政治家たちが実際に政権を担当すると,先日のオバマケア代替案みたいな事態になる.

▼ 参照:










2017年3月16日木曜日

お買い物:エルゴノミクスなキーボード

ここしばらく右手首にちょっと痛みを覚えたのをきっかけに,キーボードを新しくした.

キーボード単品ではなくて,独立したテンキーとマウスとのセットだ.どれも無線式で,USB端子に共通のレシーバーを1つ挿して使用する.

weblog: シュワーツ「科学研究における愚かさの重要性」

▼ マーティン・A・シュワーツ「科学研究における愚かさの重要性」
前半はこんな感じ:

2017年3月14日火曜日

weblog: クルーグマン NYT コラム

健康保険制度ネタのコラムとは別に,通常営業の NYT コラムも掲載されている.タイトルは「事実は人民の敵なり」:
冒頭はこんな感じ:
2期目のオバマ政権下で,雇用は103万増えた.ひと月あたり21万4千件だ.これにより,失業率は5パーセントを下回った.いくつもの指標が,アメリカ経済が完全雇用にかなり近づいていることを示していた.ところが,トランプはこれを「インチキ」と呼んで,アメリカ人は本当は大量失業に苦しんでいるのだと主張していた.

さて,トランプ政権になって最初の雇用レポートが出た.今回の23万5千件の雇用増加という数字は,これまでの傾向の継続のように見える.そして,政権はこの手柄は自分たちのものだと主張した:トランプ政権の報道官はこう発言した――雇用の数字は「いままではインチキだったかもしれないが,いまは非常に現実だ」

居合わせた記者たちは笑った――そうしたことを,彼らは恥じるべきだ.これは冗談どころじゃない.いまやアメリカは,客観的事実があるということを根本から拒絶している党と大統領に統治されている.その一方で,じぶんたちが現実だというものを現実だとみんなが受け入れるのをのぞんでいる.

weblog: オバマケア0.5 続き

連邦議会予算事務局 (Congressional Budget Office; CBO) から,「オバマケア0.5」こと共和党による健康保険制度の新法案の及ぼす効果・影響の推定に関する報告書がでた:

サマリーに目をとおしてみると,「連邦予算への影響」では2017年から2016年の期間に3370億ドルの赤字が削減される一方で,「健康保険加入数への影響」では2018年に健康保険加入者が1400万人減し,さらに2018年から2026年の期間に健康保険未加入者は2100万人増えると予想されている.

米国時間で13日に出たこの報告書を受けて,すぐさま(例によって)クルーグマンが NYT コラム「トランプケア vs. オバマケア:予告済みの黙示録」で取り上げている:





2017年3月11日土曜日

weblog: 大学はシグナリングのためか

心理学ネタを扱っている動画チャンネル "Bite Size Psych" から:


動画の解説は,大卒の方が高卒よりも統計的に所得が高く失業率は低くなりがちな傾向について,それが技能ではなく大卒資格が知性・勤勉さなどの特徴を保証するシグナリングとなっていることに理由があるという立場をとっている.その立場への賛否によらず,動画はよくできているのでこの話題に関心があれば楽しんで見られるだろう.

2017年3月10日金曜日

再掲:ファーストオーダーの哲学,セカンドオーダーの哲学

同じくサール先生のインタビュー本からもういっこ.こちらは,「ファーストオーダー」の哲学と「哲学者が語ったことについての哲学」(いわばセカンドオーダーの哲学)についてサールせんせいが述べてるところ:

再掲:フランス哲学の「10%意味不明」ルール

ジョン・サール先生のインタビュー本 (2001) から,お気に入りの箇所をサルベージ:
他方で,ミシェル・フーコーならよく知ってる.バークレーで同僚だったからね.あるとき,妻とぼくとで彼とランチで同席したことがあってね.彼に言ったんだ,"Michel, pourquoi tu écris si mal?"――「ミシェル,なんでこんな悪文を書くの?会話じゃあきみだってぼくみたいにはっきりものを言ってるじゃないか.なんでこんなに不明瞭な書き方をするの?」って.そしたら彼が,「ぼくがきみみたいにはっきり書くとね,フランスの書評家連中に子どもっぽいって思われるんだよ.infantil って言われてしまうよ.」 彼が言うには,「フランスじゃあね,少なくとも10%は意味不明じゃなきゃいけないんだ」――"Au moins dix pour cent incompréhensible" だって.「そうしないと,かんたんすぎるって思われてしまうんだ,子どもっぽすぎるって.真面目に読んでもらえなくなるよ.深みがないって連中は考えるんだ.」 
ぼくはもう面食らってしまってね.「ひょっとしてミシェルはぼくのことをからかってるか,冗談でもとばしてるのかな」と思ったりしたよ.それで,コレージュ・ド・フランスで講義をしてたとき,ピエール・ブルデューにこの一件を話してみたんだ.ピエールがそのときの招待主でね.それで,彼に,ミシェルは真面目に言ったのかなって聞いたら,ピエールがえらく興奮して,「まったくもってそのとおりだよ.それどころか,10%以上だね.10%をずっと上回るよ.意味不明なことをいれなきゃ,フランスじゃあまともにとりあってもらえないんだ.」 そうしてみると,これはフランスとアングロサクソン諸国のちがいなんだね.ぼくなんかは,なんでもすごくはっきりさせようと一生懸命やってるものね. 
フランスには,流派のちがう知的グループがすごくたくさんあって,アメリカでいちばん有名なのが最良のグループってことはないんだ.たぶん,最良のグループは分析哲学をやってるひとたちだろうね.最近まで,彼らは CREA ってところで分析哲学をやってた.「応用認識論研究所」(Centre de Recherche en Epistémologie Appliquée) ってところ.すぐれた哲学者が大勢いるよ,フランソワ・レカナティとか,ダン・スペルベルとか.他に,パリにもいい哲学者がいるね.たとえばジャック・ブーブレスなんかがそう.

  • John Searle & Gustavo Faigenbaum, Conversations with John Searle (English Edition). LibrosEnRed, 2001/2005. [Amazon]

2017年3月9日木曜日

weblog: 北京のバスに「韓国人と日本人と犬は乗車お断り」の掲示

下記のような掲示が北京のバスに貼られているのが WeChat で回覧されていると Language Log のポストで紹介されている:

weblog: オバマケア 0.5

アメリカ共和党が提案した医療保険制度(オバマケア)の代替案に対して,いくつかメディア・識者の分析がでている.

2017年3月8日水曜日

weblog: メールチェック・ツイッター・インスタグラムがやめられないとまらない:中毒の研究



元ネタというか参照してるのは下記の本:


著者はニューヨーク大学 (NYU) の心理学・マーケティングのせんせいだそうな.

かざりだけの言語相対論

『シノドス』に,「現代思想・政治思想史」研究者の重田園江という人のインタビューが掲載されている.
記事のタイトルにもあるように,インタビューのなかで,次のような発言がでてくる
人間の思考は言葉でできていますよね。そのため、言葉遣いが変わると思考も変わるわけです。
語彙(ボキャブラリー)が変わると人間の思考が変わるというと,いかにも言語によって思考が変わる/影響されるという言語相対論あるいはサピア=ウォーフ説の一種のように聞こえる.おそらく,重田氏じしんもそのつもりで発言しているのだろう.

少なくともぼくにとって,2017年の時点で,重田氏がこうしてなんら限定もつけずに(そして関連研究をとりたてて考慮することもなく)気楽に言語相対論を言えることに,いくらかの驚きを感じる.

でも,ここで言語相対論の正否を論じるにはおよばない.おそらく重田氏が言わんとしている眼目にとって,こうした言語相対論はべつに必要ではないからだ.さきほどの引用に続いて,こう彼女は言っている:
その言葉使いがどう変化したのかを調べることで、人間の思考の変化を分析するというのが、今の思想史の研究です。
言語によって思考が変わるという影響があってもなくても,言葉づかいの変化を追いかけることで「人間の思考の変化」はいくらかわかる.雨がなかなか降らないときに「雨乞い」を語る時代と「梅雨前線」を語る時代は,きっと雨と不作に関する考え方がちがうだろう.重田氏がインタビューで言及している犯罪者の取り扱いに関する考え方の変化や,「経済のボキャブラリーがあらゆるところに浸透している」という所見についても同様だ.こうした考えの違いや変化が言語のちがいや変化に起因していなくても,言葉や絵画などのかたちで残る資料から,おおよその考え方はうかがいしれるだろう.どういう切り口で,どういう世界観で物事について語っているか,その資料の検討をつうじて,さまざまな時代・文化の人々の考え方はうかがいしれるだろう.ごく当たり前のことだ.言語相対論の正否は,こうした論点にはなんら関係がない.

必要ではないはずの言語相対論がなぜか彼女の方法論にとって重要であるかのように言及されていることこそがなによりもおかしいのだと,ぼくは思う.

2017年3月7日火曜日

weblog:「ブライトバートがみちびく右派メディアのエコシステムがもっと幅広いメディアの使命を変えた」



▼ 一部抜粋:
Our analysis challenges a simple narrative that the internet as a technology is what fragments public discourse and polarizes opinions, by allowing us to inhabit filter bubbles or just read “the daily me.” If technology were the most important driver towards a “post-truth” world, we would expect to see symmetric patterns on the left and the right. Instead, different internal political dynamics in the right and the left led to different patterns in the reception and use of the technology by each wing. While Facebook and Twitter certainly enabled right-wing media to circumvent the gatekeeping power of traditional media, the pattern was not symmetric.

「テクノロジーとしてのインターネットこそ,フィルターに守られた繭につつまれ〔個人の好みにあわせて編集された〕「日刊じぶん」(the daily me) だけを読んで暮らすことを可能にすることで公共の言説を断片化し意見を両極端にわけている」という単純な筋書きに,我々の分析は異議を唱える.もしも,テクノロジーこそが「事実無用」(post-truth) 世界を推進する最重要の要因だったなら,左派と右派とで対称的なパターンが生まれていると予想されよう.だが,左派と右派とではそれぞれ内部ではたらく政治の力学が異なるために,左右でこのテクノロジーの受け止め方と利用法に異なるパターンが生じている.なるほど Facebook と Twitter のおかげで右派メディアは伝統的メディアがもつ最低限の品質維持(ゲートキーピング)の力を迂回できるようになったが,このパターンが〔左派と右派でそっくりな〕対称をなしてはいなかった.

新年度の授業準備(番外)

単発で社会人向け英語講座のお呼びがかかって担当している.いい機会なので,ついでに教材の見直しとアップデートも.

2017年3月6日月曜日

「映画 Arrival の主人公には言語学者や理論物理学者じゃなくて暗号研究者と宇宙生物学者を自分なら選ぶ」

――と,天体物理学者のニール・デグラース・タイソンがツイートしている:
タイソンは言語学者の仕事について翻訳者や通訳のそれと混同しているのではないかと,Nathan Sanders 他4名の連名で Language Log にゲスト投稿が掲載された:
暗号は,既知の言語を暗号文に符号化する.一方,Arrival やその原作『あなたの人生の物語』の課題は,まったく未知の言語を理解することだ.その点で,暗号研究者よりはフィールド言語学者の技法の方がこの課題には役立つだろう,と彼らは述べている.

2017年3月5日日曜日

Evernote継続

今年も Evernote の有料プラン「プレミアム」を継続してる.毎日かならず使う必須アプリの1つだ.

なんだかんだ言って,ウェブページのクリップ機能は便利だし,基本のテキストノートはいまもほどほどにシンプルだとぼくは感じてる.スマートフォン/PCのカメラを使った簡易スキャンも頻繁に利用している.蓄積してきた過去ノートの検索もそれなりにうまくいく(もっと速ければそれに超したことはないけど).

また,じぶん一人のノートだけでなく,去年からは教育用にも利用している.実際に試してみると,「共有ノートブック」の機能が学生さまの課題提出 etc. に使いやすいのがわかった.(ただし,ワークチャットが使えるのはよしあしで,ルールを決めて運用しないと問い合わせに労力を奪われかねない.)

とはいえ,Evernote に難点がないわけじゃない.それどころか,いろんな難点に目をつぶりながら使っている.たとえば――
  • いまだにWindows8/10 のタッチ操作に対応し切れていない.ノートブック一覧をただスクロールしたいだけなのに,なんでドラッグ操作にしてしまうん…?
  • Android版ではオフラインノートを選択できるのに,なんで Windows版では全部のノートブックをローカル保存しないといけないの? 
  • 「手書きノート」はまったく使い物にならない.ペンの認識精度が低いし,パームリジェクションがきかないので,画面に手をついて文字を書いたりできない.この点では,いまなおマイクロソフトの OneNote が圧倒的にすぐれている.
  • そもそも動作が重い.

他の競合アプリはどうかというと――
  • OneNote: マイクロソフトのアカウントを用意すれば無料で容量に制限なく使える多機能ノートアプリ.すごい.でも,ノートがリッチすぎてかえって使いにくくなってる.
  • Dropbox Paper: ろくに使ってないので未知数.(紹介動画
  • Synology Note Station: 個人用 NAS の Disk Station で使えるノートアプリ.ぼくんちにも Synology の Disk Station を導入しているので使える.有力な代替候補だけど,まだちょっとわからない.(紹介動画
Mac/iOS ユーザーには,Bear が有力な移住先らしい:
レビュー:
複数端末の同期は有料 ($14.99/Year).

2017年3月2日木曜日

M.Gladwell: "I realized that I'm a footnote-reader."





ダメ人間のあがき


  • ブラウザ起動時にカレンダーを表示するよう設定した.
  • 生活習慣アプリの Habitica を試してみることにした.ついでに,これもブラウザ起動時に表示するページに加える.


weblog: ナショナルジオグラフィックの新シリーズ『起源:人類の旅』

セーガンやドーキンスといった科学者に「歌わせる」動画シリーズ "Symphony of Science" をやってる melodysheep 先生が,ナショナルジオグラフィックの Origins: The Journey of Humankind のトレイラーを公開していた:


具体的なことは不明だけれど,彼はこのシリーズの「クリエイター,作曲者,エディタ-」として参加しているそうだ(動画紹介欄の記述).

2017年3月1日水曜日

weblog: Digibroせんせいのアニメ談義

YouTube でアニメレビューをやってる Digibro おにいさんの動画がけっこう楽しかった.

▼ 2016年のアニメ総評:

▼ Vlog でメモ的なこともやってる:

Digibro せんせい本人は,アカデミックなスタンスをとる人ではないけれど,なかには日本の「文化研究」の文献を参照している人たちもいるようだ.アニメ評論 YouTuber 3人でのオタク用語論議:
彼らが参照してたものから1冊買ってみた(いつ読むのかはわからない):

  • Patrick W. Galbraith, The Moé Manifesto: An Insider's Look at the Worlds of Manga, Anime, and Gaming. Tuttle Publishing, 2014. [Amazon






2017年2月24日金曜日

weblog



▼「カーン・アカデミーと科学教育動画の有効性」
  • Derek Alexander Muller, "Khan Academy and the Effectiveness of Science Videos," YouTube, March 17, 2011. 
  • カーン・アカデミーがやっているような科学教育動画はすばらしい.だが,Muller によれば,学習者たちはこうした動画を見て「明快だ」「わかりやすい」と好意的な感想を述べる一方で,動画視聴の前後で,そこで説明されている概念についての理解度がほとんど向上しないという.正しい考え方だけでなく,間違った考え方を動画に取り込むと,学習者は「わかりにくい」と感想を述べるが,視聴後にスコアは向上するという.

▼ カーネマン & クライン (2009)

  • Kahneman D, Klein G., "Conditions for intuitive expertise: a failure to disagree," American Psychologist, September 2009, Vol.64, No.6. 
  • 専門家の直観と専門知識は,ほんとうに優れている場合もあればたんに自信過剰なだけの場合もある.両者をわかつ条件はなんだろうか.

Abstract
This article reports on an effort to explore the differences between two approaches to intuition and expertise that are often viewed as conflicting: heuristics and biases (HB) and naturalistic decision making (NDM). Starting from the obvious fact that professional intuition is sometimes marvelous and sometimes flawed, the authors attempt to map the boundary conditions that separate true intuitive skill from overconfident and biased impressions. They conclude that evaluating the likely quality of an intuitive judgment requires an assessment of the predictability of the environment in which the judgment is made and of the individual's opportunity to learn the regularities of that environment. Subjective experience is not a reliable indicator of judgment accuracy.



2017年2月23日木曜日

新年度の授業準備 #3


教科書とリスニング音声を確保しないと


採用決定した語学教科書の本体とリスニング問題の音声を各出版社に問い合わせる.めんどい.

さすがに,いまではリスニング問題の音声が出版社ウェブサイトでダウンロードできるようになっている.えらい.ただ,それでも問題はあって,パスワードの発行が必要だったり,新版の音声がまだウェブサイトに用意されていなかったりする.こちらとしては,さっさと確保したいのだが.





2017年2月22日水曜日

dマガジンを試してみる

ドコモの dアニメにつづいて,月額432円(税込)で雑誌読み放題の dマガジンを試してみることにした.

雑誌の品揃えはそれなりで,ぼくの趣味だと『週刊アスキー』や 『Wired』 あたりを適当に流し読みできるほか,『週刊文春』みたいにふだん縁がない雑誌から気になる記事だけを拾い読みするのにはちょうどいいかもしれない.

雑誌のレイアウトは紙の雑誌をそのまま踏襲してるらしく,使用端末によって読みやすさは変わってくる.

まず,5.2インチスマートフォンの Huawei P9(フルHD)だと,誌面が小さすぎてとてもではないけれどまともに読んでいられない.

10インチの Xperia Z4タブレット(2560×1600)だと,見開きで読むのは少しつらく,縦表示1ページずつでなら文字を十分に大きく表示できる一方,見開き前提のレイアウトゆえに読みにくい場合も多い.

12インチの Surface Pro4 (2736 x 1824)だと,横画面で見開き2ページの表示でもそこそこ快適に読める.逆に,これで縦画面にすると大きすぎる感じ.

誌面のレイアウトはなおざりなところが目立つ.たとえば,下記の例を見ると,見開きで読ませる誌面でありながら,画面中央に大きくスペースをとっているために「バルミューダはまさかの硬すぎ」と読ませたいはずの見出しが,初見では素直に続けて読みにくくなってしまっている.

▲ 見出しのまとまりが崩れてしまって,「まさかの硬すぎ!? のは象印だった!」がまとまりをつくってるように見えてしまう

こういうツメの甘さは多々見受けられるものの,いろんな雑誌から必要なところだけつまみ食いするとしたら,月額432円で継続していいかな,といまのところは思える.

とりあえず,無料お試し期間が終わる前のタイミングで解約するかどうか考えるリマインダを設定しておいた.

2017年2月21日火曜日

新年度の準備作業 #2

来年度シラバスのうち,1つだけぎりぎりまで悩み続けた.いつもの英語の授業ではない「特殊講義」で,教育方法の実験場のような位置づけで,内容だけでなく教え方も新しいことを試してほしいという要望だった(とぼくは理解した).

いろいろネタだしをしてどうにかシラバスは仕上げたものの,講義本編の準備はただごとではない.来年度で死ぬ予感がする大きな要因の1つだ.

2017年2月20日月曜日

weblog

▼ ティム・ハーフォード「とっちらかり」(ポッドキャスト)

▼ 「儀式の力」(イギリス心理学会ブログ)

▼ 時間泥棒

2017年2月19日日曜日

新年度の準備作業 #1

こつこつ支度を調えないと4月になって死ぬ予感がするので,ここでメモを書きながらペースを整えていきたい.

weblog

ツイッターに流すのでもなく,ソーシャルブックマークを利用するでもなく,ただ Evernote にため込んだものをおさらいするのにこういう古式ゆかしいことをしているんだよ.とはいえ,三日坊主で終わりそうな予感もある.

▼ ロボットに課税して自動化を減速:

▼ 調査報道,ウェブメディア

▼ ティム・ハーフォード「理想のオフィスとは?」



▼ 時間泥棒



2017年2月18日土曜日

ジェフリー・ミラー『消費』のアレ

▼ 発端:

▼ これまでの足跡(カッコ内の日付はその章がおわった日を示す):
  • 第1章「ダーウィン,モールにゆくの巻」(2016年11月11日)
  • 第2章「マーケティングの魔術」(2016年11月21日)
  • 第3章「マーケティングが文化の中心にある理由」(2016年11月28日)
  • 第4章「ゼニにやられた脳」(2016年12月2日)
  • 第5章「消費主義の根本的な妄執」(2016年12月8日)
  • 第6章「適応度を見せびらかす」(2016年12月17日)
  • 第7章「誇示的な浪費,精度,評判」(2016年12月24日)
  • 第8章「自己ブランディングする体,自己マーケティングする心」(2016年12月30日)
  • 第9章「中核6項目」(2017年1月5日)
  • 第10章「消費者が見せびらかしマーケターが無視する特徴」(2017年1月9日)
  • 第11章「一般知性」(2017年1月20日)
  • 第12章「開放性」(2017年2月6日)
  • 第13章「堅実性」(2017年2月18日)

▼ これから先:
  • 第14章「同調性」(Agreeableness) (2017年3月7日)
  • 第15章「遠心的な魂」(The Centrifugal Soul) (2017年3月20日)
  • 第16章「見せびらかす意志」(The Will to Display) (2017年4月6日)
  • 第17章「自由を法制化する」(Legalizing Freedom)(2017年4月18日)
  • 「読者のための練習問題」(Exercises for the Reader) (2017年4月21日)
  • 「もっと読んだり見たりしたいなら」(Further Reading and Viewing) 

3月7日追記

しばらくサボリ気味.ページ数少ないのに第14章が終わるまでずいぶん時間をかけてしまった.

4月18日追記

本文はひととおり訳し終えたよ.えらい?






ピンカー「等位接続詞と従位接続詞にはなんの共通点もない」

スティーブン・ピンカー Sense of Style から:
p.84 に掲載したリストに「接続詞」のような伝統的範疇が入っていないのには理由がある.伝統文法では,接続詞には2つの下位範疇があって,「等位接続詞」(and や or など)と「従位接続詞」(that や if など)とに大きく分けられる.ところが,実は等位接続詞と従位接続詞にはなんの共通点もないし,両方を含む「接続詞」という範疇もないのだ.ついでに言えば,伝統的に従位接続詞と呼ばれてきた単語の多く,たとえば before や after は,実のところ前置詞だったりする [n.7].たとえば,after the love has gone(愛が失せたあと)の afterは,誰が見ても文句なしに前置詞の after the dance(ダンスのあと)の after と変わらない.たんに,伝統文法家たちが機能と範疇を区別しそこなって,前置詞が目的語に名詞句だけでなく節もとれる点が見えなくなっていただけだ.
原文:
There is a reason why the list on page 84, for example, doesn't have the traditional category called "conjunction," with the subtypes "coordinating conjunction" (words like /and/ and /or/) and "subordinating conjunction" (words like /that/ and /if/). It turns out that coordinators and subordinators have nothing in common, and there is no category called "conjunction" that includes them both. For that matter, many of the words that were traditionally called subordinating conjunctions, like /before/ and /after/, are actually prepositions. The /after/ in /after the love has gone/, for example, is just the /after/ which appears in /after the dance/, which everyone agrees is a preposition. It was just a failure of the traditional grammarians to dinstinguish categories from functions that blinded them to the realization that a preposition could take a clause, not just a noun phrase, as its object. 
脚註 7 で参照されているのはハドルストンとプラムの英文法書:

weblog


思い出したようにブログを利用するよ.

▼「スティグリッツ:フェイスブックよりトイレの発明の方がずっと重大だよ」

▼クルーグマン「無知は力なり」
▼ クルーグマン「ウォーターゲートよりひどい状況」


▼マイケル・シャーマー「事実では説得できないときどうすればいいか」

▼ 縄文時代の「暴力」についての研究(2016年);データは面白いけど解釈の方は要注意かな.
去年のニュースなのに,なんでいまさら SNS に出回ってるんだろう.



2017年2月15日水曜日

2017年2月13日月曜日

メモ: 法の支配を軽視した果ては?


トランプ政権には前代未聞の要素がある:リーダーと取り巻きが法の支配を根っこから軽蔑している点だ.これは安定しない.

今後の展開 (dynamic) としてありうるのは,ハンガリー方式の市民社会に対する威嚇とその弱体化,そして新体制の権力をひたすら強化し続けるというもの. 

もうひとつありうるのは,自壊 (implosion) だ:〔法の支配を軽視することによって権力・統治の〕正当性が浸食され,権力が損なわれ,もしかすると当の本人〔トランプ〕が権力にしがみつきながらも事実上の骨抜きにあるかもしれない.