2017年12月22日金曜日

動詞 game は「抜け穴を探す」でいいんじゃないかな

まずは、実際の訳例を見てみよう:
バーゼル2からは、「目標を複雑にしても、ゲーム化を防ぐのは簡単ではない」という教訓が得られる。複雑かつ予期せぬ結果を生じさせてしまうようなかたちで、ゲーム化の対象になってしまうことがあるからだ。(ティム・ハーフォード『ひらめきを生み出すカオスの法則』; Tim Harford, Messy.)
べつに悪い訳ではなくて、言わんとすることは十分にわかる。それでも、「ゲーム化」はいまひとつピント外れな言葉に思える: どうしても、なにかをゲームのようにして楽しむとか、そういう語感が付いて回る。

原文は次の通りだ: 
The lesson of Basel II sems to be that making targets more complex doesn’t stop them being gamed - it merely leads to them being gamed in more complex and unpredictable ways. 
ぼくなら、こんな風に訳す:
バーゼル2からはこんな教訓が得られそうだ。「目標をさらにややこしくしても、抜け穴探しは止められない」――たんにもっとややこしくて予想外なかたちで抜け穴をつかれてしまうようになるだけだ。
動詞 game は「抜け穴を探す」「抜け穴をつく」といった訳語の方が、言わんとすることにぴたっと当てはまるんじゃなかろうか。

例によって、オックスフォード学習者英語辞典を引いてみよう:
[transitive] game something to use something in a way that is unfair but legal, in order to get what you want
「(他動詞)じぶんが求めるものを手に入れるために不公正だが合法なかたちでなにかを利用すること」
なるほどなるほど。「法の抜け穴」なんかも、やっぱり合法ではあってもフェアじゃない利用をゆるす余地のことだよね。

同じく例文も見てみよう。「抜け穴を探す/つく」でうまくいくだろうか?
Some companies only received a government grant because they gamed the system.「一部には、たんに制度の抜け穴を探し出しただけで政府の助成金を受け取った企業もある。」
The government finance programme is being gamed by some high-profile banks.「政府の融資プログラムは一部の名高い銀行によって抜け穴をつかれている」

うむ、だいたいよさそうだ。

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