2013年6月29日土曜日

今日のクルーグマン「新たに投資し,古きを処分し,繁栄を」(2013年6月27日付け)

今日のクルーグマン:「新たに投資し,古きを処分し,繁栄を」("Invest, Divest and Prosper," New York Times, June 27, 2013).オバマ大統領が「気候変動対策案」を新たに発表したのを受けて,これへのありがちな批判を退けている.

以下,例によって,かんたんに概要を見ておきましょう.翻訳じゃないので,注意してください

2013年6月24日月曜日

The Verge から:特集「見る影もなく:顔面移植」

"Beyond recognition: the incredible story of a face transplant"

元夫にバットと工業用苛性アルカリ溶液で暴行を受け,顔面も含め全身の80パーセントに大きな化学火傷を負った女性のドキュメンタリ.認可を受けて顔面移植手術を受けた経過について,彼女に取材している.



The Verge は,主に「アップルがどうした」「新しいスマホがどうだ」とかのIT関連を扱うメディアだけど,こうした記事・動画もよく掲載している.

先日のクルーグマン:「生産なき収益」(2013年6月20日付)

先日のクルーグマン:「生産なき収益」("Profits Without Production," New York Times, June 20, 2013)――いまの企業は投資からのリターンではなくてレントからの収益の比重がますます大きくなっているね,という話.

ハイライト [1]:50~60年代のジェネラルモーターズも市場支配の強い企業だったけど工場をたくさん所有し労働者をいっぱい雇用していた(農業以外の労働者の実に1%にのぼっていたという).

ハイライト [2]:他方,今日の市場支配力の大きな企業といえばアップルだけど,たっぷり収益をあげてキャッシュに埋もれていてもそんなに再投資には向かわないし,雇用する労働者も少ない(海外にアウトソースしてるってのもあるけれど,中国でだってそんなにたくさん雇用してるわけでもない).

ハイライト [3]:多くの経済学者が指摘するように,今日では,格差拡大は技能プレミアムの増加がものをいうって古い話は意義を失っている.所得分配は,賃金一般から収益へと急速に移行している.だいたい2000年頃からの話だ.

ハイライト [4]:市場を支配する独占企業はすっごく収益があがるけど,産出能力を拡大する投資を行う理由をもたない.これは賃金を押し下げるはたらきをもちうる.これは経済全体にとってマズイ効果になる.

ハイライト [5]:だからって,これは金融・財政政策のマクロ経済運営をガンガンやるべしって根拠を弱めるものじゃないけれど,それはそれとして,これは考えるべき論点だ.この話はまた後日のコラムで.――といった内容でした.まる.

あと,はずかしながら,このコラムではじめておぼえたフレーズ:"what the traffic will bear"「巻き上げられるかぎりの分(お金)」

今日のクルーグマン:「バーナンキ,お前もか」(2013年6月23日付け)

今日のクルーグマン:「バーナンキ,お前もか」("Et Tu, Bernanke?" June 23, 2013). 

連銀が積極的な金融緩和を手じまいにするとほのめかしているのはダメ,ゼッタイ.右派の脅しに屈したのかバーナンキ,という内容

[コラム要旨1] 連銀はいままで積極的な金融緩和をやってきた.クルーグマンにしてみれば「まだまだ足りない!」という部分もあったけれど,それでもやってる方向は正解だった.ところがここにきて緩和の切り上げをほのめかすメッセージが連銀からでてきている.

[コラム要旨2] そうしたメッセージは予測に働きかけて金利に影響をもたらし,それがさらに民間支出を減らす方向に影響をもたらしていく.まだまだ景気回復は低調だっていうのに.

[コラム要旨3] なのに,どうしていま緩和手じまいのメッセージなんか出してるんだろう? クルーグマンの推測では,右派からの「金融緩和はドルの『毀損』だ!」といった攻撃に譲歩しつつあるんじゃないか,ちょっと景気動向がよくなったのを言い訳に使っているんじゃないか,とのこと.

2013年6月18日火曜日

「WWDC 2013:アップル形容詞交響曲」


The Verge から,アップルが新製品を発表した WWDC 2013 で頻出した形容詞・副詞だけを抜き出した動画 "Apple's WWDC 2013 keynote: a symphony of adjectives".

空疎な形容詞(や副詞,フレーズ)の勉強にどうぞ:

今日のクルーグマン:「未来を争う」(要旨)

今日のクルーグマン:「未来を争う」――長期的な財政問題を持ち出していまの不作為の言い訳にしちゃいけない,という趣旨のコラム ("Fight the Future," New York Times, June 16, 2013).以下,要点をかいつまんでいきます:


欧州の雇用動向(クルーグマンのブログ経由)

Eurostat の資料 "Employment down by 0.5% in euro area and by 0.2% in EU27" (pdf) から,欧州の雇用の動向:


(via Paul Krugman, "Europe in Depression," June 17, 2013)

2013年6月12日水曜日

「SCP-173」: ネタ元&設定の翻訳など少々





画家・彫刻家である加藤泉氏の作品「無題2004」がネタ元.

すばらしくきもちわるい異形っぷりがウケてゲーム "SCP: Containment Breach" のクリーチャー SCP-173 にされてしまったらしい.

以下,同ゲームの wiki にある架空の記録資料を訳しておく:

  • 種目 #: SCP-173
  • 分類:ユークリッド
専用拘束手順:種目SCP0173は密閉コンテナ内に常時隔離すること.SCP-173のコンテナに職員が入る必要が生じた場合,必ず3名以上で行動せねばならない.また,ドアは職員の入室後に再施錠すること.職員全員が退室しコンテナを再施錠するまで常に2名の人員が SCP-173 に対する直接目視を維持せねばならない. 
説明:1993年にサイト19に移管.起源はいまだ不詳.鉄筋コンクリート製.クライロン社のスプレー塗装の痕跡あり.SCP-173 は有生であり極度に敵対的である.直接目視しているかぎり対象は動けない.SCP-173と対峙するに際しては視線を外してはならない.コンテナ入室に割り当てられた職員はまばたきする際に必ず互いに呼びかけ確認を行うよう指示される.対象は相手の頸骨を折るか窒息させる攻撃を行うと報告されている.攻撃に当たっては職員はクラス4危険対象拘束手順を遵守すること.
 職員の報告によれば内部に人間がいないときにコンテナから石を削る音が発生する.これは正常時の挙動と考えられる.この行動に変化が生じた場合は,当直のHMCL管理者に報告のこと.
 床に見られる赤茶色の物質は糞尿と血の混成物である.これらの物体の発生源は不明.室内は隔週で清掃せねばならない.



2013年6月5日水曜日

異文化論でいう「ハネムーン期」に,おそらく根拠はない

むかしつくったハンドアウトがでてきた: PDF.

異文化論・異文化コミュニケーションで,異文化体験の「Uカーブモデル」という話がもちだされることがある.これは,根拠があるのかどうかあやしい話で,そのまま真に受けるべきではなさそうよ,という内容.

以下,ハンドアウトそのまま貼り付けておく.

ダロン・アセモグル関連

アセモグルとロビンソンの Why Nations Fail (2012) の訳書『国家はなぜ衰退するのか』(上下巻,鬼澤忍=訳,早川書房)がでるそうで.

そのむかし,アセモグルの公式翻訳wikiをやってたなぁと思い出した:
Acemoglu公式翻訳プロジェクト @ wikia

関連して,いくつか短文の翻訳を発掘してみた:


(以前,Scribd にアップロードしていた PDF はまとめて削除してたんだった)


2013年6月4日火曜日

英語用例:「他の条件が同じなら」

「他の条件が同じなら」は決まり切った言い方で other things being equal という(もとになったラテン語ではceteris paribus).このフレーズの being は省略しても言えるようだ:
So you should, other things equal, favor a system of progressive taxation and generous aid to the poor and unlucky. (P. Krugman, "Ben Bernanke Endorses A 73 Percent Tax Rate," The Conscience of a Liberal, June 3, 2013)

ついでながら,ceteris paribus の発音(Longman Pronunciation Dictionary):


ceteris の語頭はラテン語を踏襲して [k] で発音してもいいし,英語的に [s] で発音してもいい(「ケタリース・パリバス/セタリス・パリバス」).

今日のクルーグマン:「爺さまたちは大丈夫」(要旨)

2013年6月3日付のコラム "The geezers are all alright"――アメリカの債務・財政赤字に関する報告書 (LINK) を議会予算局が公表したのを受けた内容となっている.以下,かんたんに要旨をみていこう(注意.翻訳ではありません):