2015年3月14日土曜日

"I’ll see your Dick Morris and raise you a Paul Ryan"

固有名詞の前に所有格の your や不定冠詞 a がついてる例.こういう例は見かけたときにメモっておかないと,すぐに忘れてしまう.


前後の文脈を見てみよう:
Matt O’Brien catches a piece by Dick Morris a few years ago predicting that Obama’s legacy would be stagflation. But I say, oh yeah? I’ll see your Dick Morris (who cares, really?) and raise you a … Paul Ryan: Thirty Years Later, a Return to Stagflation.
That was, if you check the date, six years ago. But it’s worth remembering that not all prominent Republicans were predicting 70s-style stagflation; some of them were predicting Weimar-style hyperinflation instead.
(Krugman, "Stagflation Predictions," March 7, 2015)

いちおう,訳しておく:
数年前にディック・モリスがオバマの遺産はスタグフレーションになるぞって予測してる文章をマット・オブライエンが見つけてる.だけど,ぼくに言わせると「あらそう」ってなもんだ.そっちがディック・モリスだか誰だか(気にする人なんている?)をだしてくるなら,ぼくもだしてみよう…ポール・ライアンを:「あれから30年後,スタグフレーション再来」〔という文章をライアンが書いている〕
日付をみてもらうとわかるけど,これは6年前の文章だ.ただ,著名な共和党議員の誰も彼もが70年スタイルのスタグフレーションを予測してたわけじゃないってのは覚えておいていい.なかには,かわりにワイマール風ハイパーインフレを予測してた連中もいるからね.
問題の箇所について:まず,"I'll see your X, and raise you a Y" というイディオム的な構文は,賭け事で相手が掛け金を上げたら即座にこちらも掛け金をさらに上げるのを言う用法から転じて,相手がなにかを見せたら,それと競り合うように即座に自分もなにかを示すことを表す(とウィキショナリーに書いてあった.ははは.)

このパターンの X と Y に,それぞれディック・モリスとポール・ライアンが入っている.

ここでは,共和党支持の政治評論家ディック・モリスがスタグフレーションを予測していたという指摘に言及して,「誰かがディック・モリスのような人がああ言ってたと例を挙げるなら,こっちもこっちで(もっとすごい/ひどい)例を挙げてみせよう」と言っているわけだ.

ここで your や a は下地になっているイディオム的な構文に典型的な要素だから生起しているだけで,とくに意味はないのかもしれない.

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