2017年9月18日月曜日

にっき: EPSON のドキュメントスキャナに乗り換えた

ドキュメントスキャナの Scan Snap S1500 を引退させて,エプソンの機種に更新した.

これまで使ってきた ScanSnap S1500 はまだ動作こそするものの,排出トレイが折れていたり,縦線ノイズがいよいよひどくなっていたり,紙を送るローラーやパッド部品もそろそろ劣化していたりという状態.いいかげん潮時だろうと考えて,新機種に乗り換えることにした.本や漫画や書類のスキャンに8年にわたって毎日のようにさんざん活躍したうえでの,堂々の引退だ.

乗り換え先の選択

 ScanSnap はもはや個人向けドキュメントスキャナの代名詞と言えるくらいこのジャンルの代表格になっているシリーズではあるものの,乗り換え先にはエプソン製品 DS-570W を選んだ.DS-570 の方が発売時期が最近なので NFC に対応していたり読み取り速度で上回っていたりという機能面の長所がある.とはいえ,使い慣れた安心のブランドときれいにまとまったデザインの ScanSnap ix500 も捨てがたく,総合的に見るとどちらも甲乙つけがたい.最後まで悩んだすえに,タイミングよく中古美麗品を見つけたというだけの理由でこっちを選んだ.


Wi-Fi 接続と PC アプリ

ix500 もそうだけど,DS-570 も Wi-Fi での無線接続に対応している.PC とケーブルでつながなくてすむのでスキャナの配置に融通を利かせやすくなったのに加えて,希少な USB 端子を1つ塞がなくてすむのもありがたい.ただし,無線接続時には本体ボタンでスキャンを開始できなくて,いちいち PC 側のアプリを操作しないといけない.

実は,「無線接続時には本体ボタンでスキャンをはじめられない」というこの仕様が微妙にいらだたしい.スキャナに原稿を置いてポチッとボタンを押すやすぐさまスキャンがはじまり,そのうち PC に PDF ファイルが保存される…というこれまでのスムーズな読み取り作業とはちがって,読み取りのたびに PC とスキャナを往復しないといけない.このため,スキャナと PC をあまり離して配置すると,読み取りたい紙をスキャナにセットして PC まで歩いて行ってアプリを操作し,スキャンが終わったらまたスキャナまで歩いて行って排出された紙をとりのぞいて次の紙をセットして…という面倒がうまれる.

USB で接続すればその手間はないのだけど,せっかくの Wi-Fi 接続というウリの機能を減点させてしまっているのが惜しい.

惜しいといえば,PC アプリ ("Document Capture Pro") もいまひとつこなれていない.たとえば,セットした原稿のスキャンが終わると次のようなメッセージが表示されて,いちいち「閉じる」ボタンを押さないと次の作業に移れない.


本や漫画をスキャンする場合には,何回かにわけて連続で原稿を読み取らせていく.それなのに,1セット読み取るごとにこれをクリックする手間が入る.流れるようにどんどんスキャンしたいのに,いちいちこんなメッセージで流れをさえぎられるのが邪魔でしょうがない.(ひととおり見た限りでは見当たらなかったけど,もしかすると確認メッセージを非表示にする設定項目があるかもしれない?)

他にも,たとえば読み取りの詳細設定を呼び出すだけなのに数秒待たされたりと,妙に動作が遅いのも気になる.このあたり,今後のソフトウェアアップデートで改善されてほしいところだ.

ちなみに無線での接続には2つの方式があって,自宅の無線 LAN を経由してスキャナと PC やモバイル端末(スマホ・タブレット)を通信させるかたちと,スキャナと PC・モバイル端末とを直接に通信させるかたちのいずれかを随時選択できる.とりあえずは前者で運用することにした.

ためしに高画質 (600dpi) でカラー原稿を30枚ほど読み取らせても,多少のラグをおいて PC 側に読み取り済みファイルが保存される.どうやら通信は安定してるらしい.

肝心の読み取り画質は良好

読み取り画質は良好だ.とくに,ScanSnap S1500 でカラー原稿を読み取ったときに頻出していた縦筋ノイズがいまのところまったく出てこないのがうれしい.

「縦筋ノイズ」とはどういうノイズかというと――

▲ 長年使った ScanSnap S1500 は読み取り画像に縦筋が入る

こんな具合に,カラー原稿に縦方向の筋が入ってしまうのだ.末期にはクリーナーを使ってもなかなか改善しなくなっていた.カラーでとくに目立ちやすいだけで,グレースケールで読み取っても同じように縦筋がうっすら入る.

一方,新しく導入した DS-570W では,いまのところそういうノイズが見られない:

▲ DS-570W で漫画の表紙を読み取った(画像は縮小済み)

とくに目立つノイズが入りやすい暗色部分もきれいに読み取れている:



また,読み取り速度も速い.標準画質で本を1冊スキャンする作業時間はかなり短縮された.いちいち計測していないけど,「A4カラー、A4モノクロ:35枚/分」という公称スペックに誇張はなさそうだ.

参考までに,45枚の原稿を標準解像度 (300dpi) カラー両面で読み取らせた動作はこのくらいにスピードだ(動画):


1分ほどで45枚の読み取りが終わっている.

「モアレ除去」の効果

読み取りの詳細設定で「モアレ除去」の項目がある.どんな効果になるのか試してみた.

まず,こちらが「モアレ除去」なしでの読み取り結果:

▲ 600dpi,モアレ除去なし

カラーの部分が均一でなく模様(モアレ)がでている.これを除去するのを意図したのが「モアレ除去」の機能だ.この機能を有効にして読み取ると,こういう結果になる:

▲ 600dpi,モアレ除去を有効にした結果

たしかに塗りの部分は均一でスムーズになったものの,ピンボケしたような画像になってしまっている.好みもあるだろうけど,基本的には無効にしておいた方がよさそうだ.

なお,読み取り設定の最高解像度 1,200dpi では「モアレ除去」の機能は使えない.この設定での読み取り結果はこんな感じだ:

▲ 最高解像度1,200dpi での読み取り結果


Android アプリの読み取りは「標準画質」が上限

Wi-Fi 接続で,モバイル端末でも読み取り作業ができる.スマートフォン・タブレットが NFC 対応機種なら,本体の NFC ロゴに近づけると,まず Google Play ストアの専用アプリに連れて行かれる.アプリ側の手順案内にしたがっていくと,ネットワーク内のスキャナを探し出してくれて,スキャン開始できる用意がととのう.(アプリをインストールしている状態で NFC に近づけるとアプリが立ち上がって Wi-Fi 接続が試みられる.)

アプリは無難な UI で,とりたててどうという美点も難点もない.

ただ,Android 版のアプリで試したかぎりだと,読み取り設定の「解像度」には低画質 (200dpi) と標準画質 (300dpi) の2つしか選択肢がなく,最高画質の 600dpi や最高解像度の 1,200dpi は選べない.たしかに,モバイル端末で漫画などを最高画質でスキャンするといった作業はしないので実用的には困らないはずだけど,もしかしてそういう作業を想定していた人がいれば「こんなはずではなかったのに」と思うだろう.

ちょっとした書類を標準画質で読み取りたいときには,わざわざ PC で重いアプリを立ち上げなくてもスマホだけで作業が完結するのが長所だ.

まとめ

項目別に主観的な評価をまとめる.
  • 外観:ふつう.ScanSnap ix500 に比べるといまひとつ洗練されていないと感じる.
  • Wi-Fi接続:安定している.
  • 読み取り速度:非常によい.
  • 画質:非常によい.フラットベッド型スキャナには敵わないとはいえ漫画のカラーページ読み取りにも不満なし.
  • PCアプリ:いまいち.実用には間に合うものの,動作が重いうえに UI の作り込みが足りない.
  • Androidアプリ:可もなく不可もなく.

…日記なのにレビューもどきになってしまった.


2018/1/13追記

ハードウェアには相変わらず不満はないものの,ソフトウェアには悩まされている.最近のアップデート以後に,こういうエラーメッセージがでてスキャンが中断されるケースが頻発してる:


今後のアップデートで対応されるといいんだけど.

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