A young man named Alexander Fleming was earning a wage through a boring job in shipping when his uncle died, leaving him enough money to quit and enrol at St Mary’s Hospital Medical School in London instead.
(Tim Harford, 50 Things That Made the Modern Economyy)
(ヒント: この例題の鍵となるのは,'when' 節の扱い.)
ぼくのサンプル訳は明日あらためてこのチラシの裏に書き付けるとしよう.
追記: サンプル訳と目の付け所
例題をぼくなりに訳すとこんな感じ:アレクサンダー・フレミングという若者が商船会社のたいくつな仕事で生計を立てていたところに,叔父が死んでけっこうなお金が転がり込んできた.若者は仕事をやめて,その金でロンドンのセントメアリー病院医学校に入学した.英文の目の付け所は,'when' 節だ.くれぐれも,こんな風に訳してはいけない:
叔父が死んだとき,アレクサンダー・フレミングという若者は商船会社のたいくつな仕事で生計を立てていた.そして,けっこうなお金が転がり込んできた(…)
叔父が死んでけっこうなお金が転がり込んできたとき,アレクサンダー・フレミングという若者は商船会社のたいくつな仕事で生計を立てていた.多くの場合,'when' 節は主節が述べる出来事の後景を伝える.たとえば,マイケル・スワンせんせの学習英文法書ではこんな風に解説している:
この3つの単語〔as, when, while〕はどれも,〔主節の出来事より〕もっと長い「後景」の動作・状況を導入するのに使える.あることがおきる/おきたときに進行中だった動作・状況を伝えるのだ.
As I was walking down the street I saw Joe driving a Porsche.(道を歩いていたらジョーがポルシェを運転してるのが目に入った)
The telephone always rings when you are having a bath. (お風呂に入っているときにかぎって電話が鳴るんだ)
While they were playing cards, somebody broke into the house.(トランプで遊んでいたら,誰かが家に押し入ってきた)
通例,こうした動作・状況を表すのには進行時制が使われる(was waling; are having; were playing).だが,as と while は単純時制でも使える.とくに,sit, lie, grow のような「状態動詞」といっしょに使われる場合は単純時制となる.
As I sat reading the paper, the door burst open.
(座って新聞を読んでいたらドアが勢いよく開かれた)
(Michael Swan, Practical English Usage, 2016, §251)
ものすごく単純に言うと,出来事を語るとき,際立つ《前景》とそれを支える《後景》は,文法的にこういう対応になりやすい:
- 《前景》:主節:単純時制
- 《後景》:副詞節:進行相
- (a) ジョギングをしていたときに,ぼくは捨て猫を見つけた.
- (b) 捨て猫を見つけたときに,ぼくはジョギングをしていた.
ところが,今回の例題にした英文では,《前景》《後景》が次のようになっている:
- 《前景》:「叔父が死んだ」:when 節:単純時制
- 《後景》:「生計を立てていた」:主節:進行相
こうした状況を言い表すのに,短い方の状況・出来事を when で導入することもできる.ただし as や while はそういう風に使えない.
When the telephone rang I was having a bath.
(NOT As/While the telephone rang...)
電話がなったとき,ぼくはお風呂に入っていた.
When the burglar broke into the houes, they were playing cards.
強盗が家に押し入ってきたとき,彼らはトランプで遊んでいた.
出来事が順に起きるのを述べる物語文で《前景》《後景》のどちらを表すかという点では,主節か when 節かという区別よりも単純時制か進行相かという区別の方が強く効いてくるのではないかとぼくは思っている.
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- 「メモ:ちょっとした翻訳処理の TIPs: 情報提示の順番を保とう 」(はてなダイアリでむかし書いたやつ)
アクレサンダー・フレミングという青年は退屈な海運業に従事して生計を立てていたが、叔父の遺産をもとに仕事を辞めてロンドンのセントメアリーズ病院医学校に入学した。
返信削除どうでしょうか。
英文読解の良い練習の仕方があればぜひ教えていただきたいです。
アレクサンダー・フレミングという名の若い男は、運送業の退屈な仕事で賃金を得ていたが、彼のおじが亡くなると、遺産のおかげで仕事をやめてロンドンの聖メリー病院医学校に入学することができた。
返信削除saruさん,Unkownさん,投稿ありがとうございます.どちらの訳文もうまいと思います.
返信削除英文読解を練習するとびきりすぐれた方法は思いつきませんが,独り合点でわかったつもりになるのを避けるには「じぶんなりの言葉で要約する」「気になる箇所を訳してみる」というのは良い手だと思います.