2021年1月2日土曜日

用例採取: 不可算用法の "smartphone"

テック系 YouTube動画を見ていたら,マイクロソフトの折りたたみスマホ Surface Duo について話している流れで,こんな表現が出てきた(開始から1分41秒あたり):

(...) also, for fourteen hundred dollars, you really didn't get a lot of smartphone

太字強調した箇所の "smartphone" は,数量表現の a lot of で修飾されているのに複数形になってない.これは,不可算用法だ.つまり "water" や "orange juice" なんかと同じく数えないモノを表している.

じゃあ,これはどんな意味なんだろう? 直訳すれば,「あなたはたくさんのスマートフォンを手に入れなかった」くらいになってしまう.これじゃ意味不明だ.(いや,逐語訳してから訳文を眺めて「どんな意味だ?」と考えてはいけない.) 不可算用法ということは,「1台,2台…」と数えられるスマホ本体ではなくて,数えられないモノを表しているにちがいない.

どんな意味なのかは,その後の話を聞けばわかる:

You got something with an outdated flagship chipset, you didn't get 5G, you didn't even get NFC, the camera was pretty poor and overall support didn't look very good. (載っているのは旧式のフラッグシップ用チップセットだったし,5G非対応だったし,NFC すらなかったし,カメラはずいぶんお粗末で,全体的な〔対応アプリの〕サポートも冴えなかった.)

つまり,"a lot of smartphone" という句はスマートフォンの端末そのものを表しているんじゃなくて,スマートフォンに期待されるいろんな機能・性能を表している.だから,"you really didn't get a lot of smartphone" というのはこういうことだ:

(…)それに,1400ドルを払って手に入るのはスマホとして不十分なしろものだった.


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