2018年9月28日金曜日

論証のルール #2: 自然な順序でアイディアを展開しよう

またウェストンせんせいの『論証のルール』(第5版)から:



ルール #2: 自然な順序でアイディアを展開しよう

論証は先へ先へと動いていくものだ.理由や証拠は,結論へと向かうけれど,どんな動きもそうであるように論証にも優雅なものもあればぎこちないものもあるし,きれっきれの論証もあれば七転八倒するような論証もある.明快で効率のいい論証にしたいし,できることなら優雅な論証にしたい.

さっきの豆の論証をまた例にあげよう.あの論証を文章にまとめたい.さてさてどうしたものだろう? たとえばこんな風に書くのはわるくない:

みんなはもっと豆を食べるべきだ.ひとつには,豆の方が健康的だという理由がある.たいていの人たちがいま食べているものに比べて,豆の方が繊維とタンパク質が豊富で,脂肪とコレステロールは少ない.また,豆料理はかなり多彩であじわい豊かなものにできる.黒豆ペーストのスパイシーなタコスの具やひよこ豆のペーストを思い浮かべるといい.

この一節では,どの文をとってみても次に来る文の出番を用意していて,無理なくなめらかに先へ先へと付いていける.論証は,最初に結論から切り出している.すると,おのずと今度はその前提を述べることになる.読み手の期待に応えて,論証は主な理由をすぐさま述べて,それからさらにその理由の理由を述べて豆が健康的なわけを解説している.なんなら,これとちがう順序で論証をまとめてもいい.たとえば,2つ目の理由を最初にもってきて,さらに/あるいは結論を最初ではなく最後に回す手もある.どちらもいい順序だ.

こうやって無理ない流れに論証をまとめるのは,なかなかの骨折り仕事だ.とくに,論証がもっと詳細にわたっていて入り組んでいるときには大仕事になる.論証の結論や前提をそれぞれうまい場所に配置する仕事はかんたんではない――たいていは,ダメな置き場所が山ほどある.たとえば,さっきの論証をこんな具合にまとめていたとしたらどうだろう:

黒豆ペーストのスパイシーなタコスの具やひよこ豆のペーストを思い浮かべるといい.たいていの人たちがいま食べているものに比べて,豆の方が繊維とタンパク質が豊富で,脂肪とコレステロールは少ない.豆料理はかなり多彩であじわい豊かなものにできる.みんなはもっと豆を食べるべきだ.豆の方が健康的だ.

前提も結論もさっきと変わっていないけれど,順序を入れ替えている.こっちの文章では「ひとつには…」のように)前提や結論を見つけやすくしてくれる道しるべやつなぎになる言葉を残らず取り払っている.豆をおいしく食べられる料理など,主な前提をわかりやすくする具体例は文章のなかにちりじりになっていて,仕えるべき前提のすぐあとに来るどころか離れ離れになっている.こんな文章では,2回読み直さないと結論がわからない.読者がそこまで辛抱強いなんてあてにしてはいけない.

何度か論証の順序を試して,いちばん自然な順序を見つけること.ここでも,本書にでてくる他のルールが助けになるはずだ.他のルールを利用して,ただどんな種類の前提が必要なのか調べるだけでなく,そうした前提を並べる最善の順序を見つけ出すといい.

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