2014年8月31日日曜日

ワイヤレスだしノイズキャンセリングだし中古で6,990円だし:MDR-ZX750BN

2015年2月27日追記:後継機種の ZX770BN が発表された(記事).ノイズキャンセリングと Bluetooth 接続の機能は共通で,デザインが変更されているのが確認できる.]

中古で手に入れたソニーのヘッドホン MDR-ZX750BN [Amazon] がえらく優秀だった.そこそこしっかりした音を鳴らすヘッドホンに,Bluetooth ワイヤレスとノイズキャンセリング機能がつまっていて,その割に手頃な実売価格になってる.

いいところとわるいところを箇条書きにするとこんな感じ:

▼ Pros:
  1. 完全にコードから解放される.
  2. Bluetooth 接続は安定していて音声も良好.
  3. ノイズキャンセリング機能で環境のノイズが低減される.
  4. バッテリーはじゅうぶんに持続してくれて,1日ずっと使用していられる.
  5. コストパフォーマンスがよい.

▼ Cons:
  1. スイーベル機構で平らにできるものの,本体はやや大きくて鞄におさめるときにかさばる
  2. ポータブルヘッドホンとして考えると,やや大きいので外出時に人前で装着するのはためらわれる(個人的に!)
  3. オンイヤーで耳が圧迫され,長時間使っていると痛くなる.
  4. 見た目のおしゃれ感を期待してはいけない

1. ワイヤレス! 

なんといっても,本機の魅力は Bluetooth で無線接続して,完全にコードとサヨナラできる点だ.

1-1. Bluetooth 接続

Bluetooth 3.0.ぼくが利用したかぎりだと,接続は安定しているし,音質も良好だ.動画を見ているときにも,映像に対する音声の遅延を感じることもない.送信側の機器から 5m くらい離れても,まったく音声は途切れない.間に壁やドアなどの遮蔽物があれば,さすがに途切れる.鞄やポケットに入れた機器からは途切れず受信できる.

(本機は高音質とされる AAC と apt-x のコーデックに対応しているものの,ぼくの手持ち機器にはこのコーデックを使うものがないため,どんなものなのかわからない.)

1-2. NFC

ソニーはこのところ,スマートフォンを中心に NFC 機能をのせた製品をたくさん展開してる.本機にも NFC がのってるので,対応製品があれば,タッチ接続できる.

ふだんから Bluetooth 接続を設定するのに慣れていても,このタッチ接続はそこそこ便利に感じられる.いちいち端末側を操作して設定を開く必要がないからだ.

1-3. オーディオレシーバと比べて

ぼくはいままで Bluetooth のオーディオレシーバを利用してきた(「イヤフォンのコードにわずらわされたくない:bluetoothオーディオレシーバ×2」).その利点は,なんといっても接続するヘッドホン・イヤホンを自分で好きに選べる点にある.もしヘッドホン・イヤホン側が故障してもそれだけ交換すればすむのもありがたい.レシーバ側が故障した場合も同様だ.この2つがワイヤレスヘッドホンとして一体化していれば,どこかの機能が故障しただけでまるごと使えなくなってしまう.

他方で,BTオーディオレシーバのおっきな難点は,次の2つだった:
  • 難点 1: けっきょくはレシーバからヘッドホン・イヤホンまでのコードが残る.
プレイヤーからレシーバは無線になっても,レシーバに刺したプラグからヘッドホン・イヤホンまではコードがあることに変わりはない.プレイヤーまわりにコードがなくなるだけでも取り回しは劇的によくなるものの,レシーバからのびるコードがわずらわしく感じられる場面は多い.とくに,コードが長すぎるときには余った分をポケットに突っ込んだり巻き取ったりしないといけないのがちょっと面倒だ.
  • 難点 2: レシーバそのものをポケットに入れたり腰にぶら下げたりしないといけない.
これもつらいところ.レシーバをたとえばジャケットの内ポケットにしまったり,ベルトを通す穴にひっかけたりして身につける必要がある.

当然ながら,ワイヤレスヘッドホンではこうした難点はない.


2. ノイズキャンセリング!――過度の期待は禁物

デジタル・ノイズキャンセリング機能によって,周辺の雑音を低減できる.効果は絶大じゃあないけれど,それなりに減らしてくれるのは間違いない.環境のノイズが減れば,再生時の音量をあんまり上げなくても音声を聞き取りやすい.

どのくらいノイズが減るか,正確に伝えるのはむずかしい.たとえば,夏場にぼくが部屋で常時回してるデスクファンとサーキュレータの音は,ヘッドホンをたんに装着しただけだと,まだまだ「ブーン」となっているのが聞こえる.でも,ノイズキャンセリングを ON にすると,それが「サーーッ」というかすかな音にまで低減される.

また,なにも再生せずに装着しているときにも,「サーッ」というホワイトノイズはほとんど聞こえない.ぼく個人の体感では,音楽や動画の音声を聞いてるときには,まったく気にならない.

通勤・通学時に電車で使いたい人にとっては,周囲の騒音がどれだけ低減できるか気になるだろうと思う.この点は,ぼくは未確認でわからない――追記:その後,電車内で使ってみた.ノイズは少し減る程度で,騒音をかき消してくれるほどではない.

ZX750bnのノイズキャンセリングは,たとえばウォークマン X1000 付属のカナル型イヤホンで使えるノイズキャンセリング機能と比べると,大幅に弱い.X1000 のノイズキャンセリングでは,デスクファンの回る音はほぼ消えるし,電車内の騒音もかなり抑えてくれる.

なお,有線接続でもノイズキャンセリングは使える.

3. バッテリーの持続

公称では,ノイズキャンセリングと Bluetooth を両方ONにして連続再生を約13時間できるとうたっている.実際,バッテリーは長持ちしてくれる.いまのところ,バッテリー切れになったことがない.

充電はマイクロUSB端子から行う.昔の機種だと専用の充電器をつながなくてはいけなかったりしたので,ここも便利になった.

4. デザイン:外観,装着感,操作しやすさ

樹脂製ハウジングだけど安っぽさはなく落ち着いた外観.パッドはやわらかくて快適だ.操作ボタンはまともで,誤操作の心配は少ない.

4-1. 見た目

ふつー.

高級機種によくあるアルミハウジングとかじゃなくて樹脂製のハウジングだ.beats みたいなオシャレデザインでもない.とはいえ,いかにもチャチな感じはなくて,つくりはしっかりしている.カラーは黒と白の2色展開で,ぼくは黒を選んだ.(ちなみに兄弟機の MDR-ZX750 には黒を基調にして赤のアクセントをつけた外観デザインがなされていて,あっちの方がかっこいいと思う人もいるかも.)

スイーベル機構でハウジング部分を回転させてフラットにできる.ただ,本体はやや大きいので,鞄におさめるとけっこう場所をとる.

4-2. 装着感


ヘッドホンといえば,典型として思い浮かぶのは,耳をすっぽりドーム状に覆うかたちで耳の周囲にパッドがあたる「アラウンドイヤー」タイプだ.

他方,本機はポータブルヘッドホンによくある「オンイヤー」タイプで,パッドが耳にのっかる.ハウジングは比較的に小さくなる反面,耳がつねに圧迫されるので,長時間つけていれば多かれ少なかれ痛くなってくる.とくに,眼鏡をかけているぼくの場合だと,つけっぱなしでいると耳の付け根がじょじょに痛くなってくる.これは仕方ないところ.

頭頂部にあたるパッドもやわらかくて,坊主頭にしてるぼくがつけていても不快感はない.

ほどほどに締め付けてくるので,かるく首を回したり振ったりしても,なかなかズレない.

4-3. 操作しやすさ

左右にボタンが配置されていて,ひととおりの操作ができる.

まず,左側には電源ボタンとノイズキャンセリング機能のボタンがある.

電源ボタンは,単純な電源 ON/OFF の他に,Bluetooth 接続のときに長押しして「機器登録モード」にするのにも使う.

ノイズキャンセリングのボタンは,短く1回押した場合に ON/OFF の切り替え,約3秒間長押しした場合に環境音から自動的に適切なモードを設定する「AIノイズキャンセリング」が動作する.

右側には,音量調節ボタンと「再生/一時停止」と「曲送り/曲戻し」「早送り/早戻し」を操作するボタンがついている.音量を上げる側には小さな突起があるので装着したまま音量を上げ下げするときにも混乱しない.

つまり,左側には装着時の使用頻度が少なく「押すか押さないか」で操作するボタンが配されている一方で,右側には装着時の使用頻度が多く「どっちを押すか」「どっちに押すか」で操作するボタンが配されている.まともなボタン配置だ.

5. 音質

変なクセもなく,聞きやすい.低音はボワつかずにしっかりでてる.

6. 有線でも使える

左側下部にステレオミニプラグの差し込み口があるので,適当な延長コードを刺せば有線でもプレイヤーにつないで聞ける.いわゆる「片出し」のヘッドホンと同じになるわけだ.Bluetooth で他の機器につないでいるときにプラグを差し込むと,すぐに Bluetooth 接続が解除される.

有線接続では,ふつうのヘッドホンと同じように,電源OFFのままバッテリー不要で使える.バッテリーが切れてしまったときや,Bluetooth が使えない端末とつなぐときに役だってくれるはず.

また,電源ONでノイズキャンセリングを有効にして使うこともできる.

付属品のコードは細かい溝が入ったセレーションコードで,絡みにくい加工になってる.これは地味にありがたい.


7. 使用場面

ぼくの場合は,もっぱら室内で使ってる.自宅でノートPCと接続して YouTube の動画や nasne の録画を見たり,walkman と接続して音楽を聴いたり,といった使い方をしてる.

じゃあ,外出時に使えるかというと,ぼくは正直ためらう.ふだん,ポータブルヘッドホンを電車内で使うことも多いけど,このサイズになると個人的にはおおげさな感じがしてくる.

とはいえ,近頃は beats のでかいヘッドホンをつけてる人もよくみかけるし,ここは個人のお好みしだいだろう.


8. お高いんでしょう?

いまの実売価格をみるとだいたい1万円ちょっとで,それなりのお値段だ.ただ,機能と音質を考えるとコストパフォーマンスにすぐれていると思う.

8-1. 新品の実売価格

8/30現在のお値段を見ると,最安値は税込10,530円だ(価格コム).発売時からは順当に値下がりしてる.


オーディオ趣味の持ち主でなければ,10,000円以上もするヘッドホンなんて,ずいぶんお高い買い物だ.しかも,総じてワイヤレスヘッドホンは音質面で同等の機種より大幅にお高くなる傾向がある.本体のつくりや音質は2000円くらいの廉価版ヘッドホン相当でも, Bluetooth オーディオ機能がつくだけで数千円高くなってしまう.ぼくが長らくワイヤレスヘッドホンを敬遠してオーディオレシーバを使っていた理由はこれだ.

そこは本機も同様で,無線とノイズキャンセリングのない兄弟機 MDR-ZX750 と比べると2倍くらいのお値段になってる.こっちは,8/30現在の最安値が税込み5,180円となっている(価格コム).


ヘッドホンの基本部分はどうやら同等品らしいので,Bluetooth とノイズキャンセリングに追加で約 5,000円を出すかたちだ.

というわけで,本機はそこそこのお値段になってる.けど,ワイヤレスとノイズキャンセリングの全部入りなのを考えると,これはかなりのコストパフォーマンスだ.

参考に上位機種を見てみると,もちろんお高い.たとえば同じソニーの MDR-1RBTMK2 [Amazon] なら最安値で 26,460円(価格コム)だし,harman/kardon BT [Amazon] なら最安値で 22,820円(価格コム)だ.それでいて,ノイズキャンセリング機能はない.

こうした上位機種にお金を出す気になれない一方で,もっと安い機種(たとえば DR-BTN200)だと装着感・音質・デザイン・機能の面で不満がでてくるとしたら,この機種が選択肢にのぼってくる.

8-2. 中古品を探す

で,ぼくが買ったのは中古品だ.

eイヤホンの中古品在庫リストを検索すると,参考価格 6,990円の在庫が見つかる(8/30現在).ぼくが実際に買ったのもこのお値段だった(箱と付属品がそろっていて,ハウジングにちょっとキズがついてる状態).

[検索結果のキャプチャ]

他にも,ソフマップの中古品などを当たってみるといいかもしれない.

それなりにしっかりしたつくりのヘッドホン本体に Bluetooth ワイヤレス機能とノイズキャンセリング機能がついて約7,000円なら,ぼくの価値観ではじゅうぶんに割に合う.


9. まとめ

Bluetooth とノイズキャンセリング機能がいっしょに入っていて,バッテリーが長持ちするのがなによりの長所.音質も本体デザインも手堅くクセがないので,気楽に使いやすい.難点は,やや大きくて通勤電車で使うのはためらわれることと,長時間つけていると耳が圧迫されてちょっと痛くなること.

で,なにを聞いてるかって言えば,アニソンなんですけどね.


花ハ踊レヤいろはにほ

――ちょっと感想を書くつもりだったのが,思いがけず長文になっちゃった.


参考




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