2013年9月16日月曜日

今日のクルーグマン:「雇用にチャンスを」(2013年9月15日付)

原文:"Give jobs a chance," New York Times, September 15, 2013.


今週,アメリカ連邦準備制度理事会の公開市場委員会が金融緩和の手じまい (tapering) を公表するだろうと予想されるなかで,今日のコラムでは「やめろ」「手じまいすんな」と主張.早期に手じまいをしてしまった場合のリスクと,手じまいが遅れた場合のリスクを比較すると,前者の方が圧倒的に大きい,というのがその根拠だ.

早期に手じまいをしてしまった場合,まだまだ完全雇用にほど遠く,むしろ緩和を継続すべきなのに引き締めに転じてしまうと,景気の低迷を続けて失業者を増やしてしまう.このコストはとても大きい.

他方,手じまいが遅れた場合には,完全雇用が達成されてもしばらく金融緩和がなされて,インフレを加速してしまう――けど,そもそもいまは連銀のインフレ目標 2% すら下回っているし,クルーグマンや他の経済学者(たとえばIMFの主席エコノミスト)は 4% 目標の方がのぞましいとすら考えている.したがって,余計にインフレを加速してしまったとしても,そのコストは問題にならない.

この2つを比べれば,かりに判断ミスだったとしても引き締めに転じるのが遅れる方が,その逆よりもずっとマシであり,したがって「経済成長によせて間違う方が賢明というものだ」(to err on the side of growth is wise) とクルーグマンは述べる.

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