2016年6月16日木曜日

小ネタ:注意の引用符

ピンカーの Sense of Style から:

The use of shudder quotes is taken to an extreme in the agonizingly self-conscious, defiantly un-classic style of postmodernism, which rejects the possibility that any word can ever refer to anything, or even that there is an objectively existing world for words to refer to. Hence the 2004 headline in the satrical newspaper The Onion on the passing of postmodernism's leading light: Jacques Derrida "Dies." 
用心の引用符の使用が極限にまで達したのが,煉獄の苦しみかのごとく自意識が強くて傲慢なまでに非古典的なポストモダニズム の文体だ.ポストモダニズムは,どんな言葉であろうとなにかを指し示すことは不可能だと否定し,さらには,言葉が指し示す対象の世界が客体として存在している可能性すら否定する.それで,2004年に皮肉好きな新聞 The Onion は,ポストモダニズムの重鎮の死去を報じる見出しにこう書き記した:ジャック・デリダ「死す」


xkcd「カレシさん」


(xlcd, "Boyfriend")

いちおう対訳をつけておくと:

Can my boyfriend come along?
あたしのカレシさんはでてこられる?

I'm not your boyfriend!
オレはキミのカレシじゃないよ!

You totally are.
100パーセントカレシじゃん.

I'm casually dating a number of people.
オレ,いろんな相手と気楽につきあってるし.

But you spend twice as much time with me as with anyone else.
I'm a clear outlier.
でも,他の誰よりもあたしと過ごしてる時間の方が2倍も多いでしょ.
明らかにあたしは外れ値だよね.

Your math is irrefutable.
キミの数字は反論の余地がないな.

Face it - I'm your statistically significant other.
直視しなって――あたしが統計的に有意な相手なんだよ.

alt: ... okay, but because you said that, we're breaking up.
…はいはい,でもそう言うんだったら,別れようか.

2016年6月13日月曜日

「ジェンダーと科学の科学:ピンカーとスペルクの対論」(20)

スティーブン・ピンカーとエリザベス・スペルクとの対論をちまちま訳しています(前回はこちら).先行のピンカーが提示した証拠と対立する証拠をスペルクが提示しているところ.

以下,訳文:

形容詞で行動を表していそうな例: "I can be precise"


  • "I can be reasonably precise about the time of the incident."(「事故の時刻については,かなり正確に言えます」;OALD 8th edition)

――少なくとも,「私はかなり正確になれます」という意味ではないだろう.正確・精密になるのは「私」ではなく「私の言葉・記述」という点では,換喩も関わっている.

構造的なあいまい性の例: "discuss sex with..."

とくにどうということはない例だけども:


下線部が,動詞 discuss の直接目的語だ:
  • a. Conan will discuss [sex] [with Dr. Ruth] (=ルース博士とセックスを論じる)
  • b. Conan will discuss [sex with Dr. Ruth](=ルース博士とのセックスを論じる)

ピンカーのオンラインレクチャー動画からの引用:



weblog: AIBOの開発から撤退までの経緯

このシリーズはけっこうおもしろい:



ソニーの70周年記念の動画でも,ほこらしげに登場する選ばれた製品の1つなのにねぇ.



なんとなく連想したので,他の記事から抜粋:
石川:ソニーだってね,別に AIBO だって成功してはないでしょうけども,やっぱりちゃんとソニーの輝ける時代を代表するひとつのプロダクトですからね.
西田:だって,これ言うと語弊があるけど,たとえば「ソニー史」というものが書かれたとして,「Xperia を出したのはスゴイ」って書かれることってまあないですよね?」
石川:今のところはね.たしかに「スマホをやってました」とは書かれるかもしれないけど,「Xperia という素晴らしい商品があった,画期的だった」と大文字で書けるかというと,それはちょっと難しい状態にはあるわけで.」
(「ジャーナリスト・石川温さんと語るロボホンの可能性(後編)」『金曜ランチビュッフェ』vol..83)