2016年9月28日水曜日

例文採取: when節の情報が前景となっている例

中学生でもわかる英文だけど,これをどう訳したらいいか,ぼくはちょっと考えてしまう:
"I was at the video shop with my twelve-year-old son when he rented Kikujiro, ..."
このあとには,『菊次郎の夏』についての簡単な説明が続く.出典は P.Carey, Wrong About Japan, p.3.

中学生的な英文和訳だと,次のように訳してもマルがもらえるだろう:
「彼が『菊次郎の夏』を借りたとき,ぼくの12歳の息子とぼくはビデオレンタル店にいた」
でも,文章のつながりを考えれば,息子が『菊次郎の夏』を借りたことに力点があるし,そのあとに映画の説明が続くのだから,日本語文でもセンテンスの後ろにこの情報を回す方がいい.

そこを考慮して,順番だけ入れ替えてちょっぴり改善したバージョン:
「ぼくが12歳の息子とビデオレンタル店にいたとき,彼が『菊次郎の夏』を借りた(…)」
――でも,まだしっくりこない.そこで,もうちょっと手を加えてみる.あとに続く部分も入れておこう:
I was at the video shop with my twelve-year-old son when he rented Kikujiro, a tough-guy/little-boy Japanese film whose charming, twitching hoodlum is played by an actor named Beat Takeshi.
「12歳の息子をビデオレンタル店に連れて行ったら,『菊次郎の夏』というのを借りてきた.タフガイ/少年の日本映画で,ときどき首をくいっとやるチンピラを演じるのはビートたけしという役者だ.」
――この訳文では,まず一人称をなくしてしまい,さらに,英文が表す情景に訳者としての演出を入れている:「連れて行った」息子が「借りてきた」というかたちにしている.

ふつう,when節は主節に対して背景になるはずなんだけど,この英文みたいにむしろ主節の方が背景の役回りになっている場合もある.

でも,文章のつながりを考えれば,息子が『菊次郎の夏』を借りたことに力点があるし,そのあとに映画の説明が続くのだから,日本語文でもセンテンスの後ろにこの情報を回す方がいい.

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