「パラシュート問題」
ただの抜き書きだよ:
佐々木:「味噌に含まれる塩分は問題ない」は、科学的には高い確率で否定できますよ。これは、疫学の分野ではパラシュート問題と言われています。British Medical Journal(https://www.bmj.com/content/327/7429/1459)という著名な学術誌で紹介されました。
もしも飛行機からパラシュートを背負って降りた時、パラシュートが開かなかったら人は死ぬか。100人の人に落ちてもらって、50のパラシュートは開かないようにして、両方の群でそれぞれ何人の人が死ぬか調べる。そんな無作為比較割付試験をしよう、とはだれも言わないでしょう。そんな試験をしなくても、パラシュートが開かない時に人が地面に落ちるまでの距離と時間、落ちた瞬間のスピードは計算できます。それによって、人が死ぬ確率も計算できます。実験をしたら人の命が奪われる。実験をやらなくても理論計算だけで、高い確率で推定できる。その場合には、実証実験は避けるべきだ、という前提があります。お味噌はそれだ、とぼくは思います。
味噌に含まれる塩分も他の食べ物に含まれる塩分もその正体のほとんどは「塩化ナトリウム」でまったく同じ物質です。味噌には健康に良い別の成分があるかもしれません。したがって、「味噌は血圧を上げない」という可能性は残されていますが、「味噌の塩分は血圧を上げない」という可能性はありえません。実験はやらずとも理論的に否定できます。(松永和紀「はめを外す時もあっていい、健康管理は食べる頻度で: 佐々木敏・東京大学大学院医学系研究科教授インタビュー(3)」(2018年9月10日))
引用内でリンクして参照されてる論文:
0 件のコメント:
コメントを投稿