2016年5月31日火曜日

「ジェンダーと科学の科学:ピンカーとスペルクの対論」(14)

ピンカーとスペルクの議論をちまちまと訳しています(前回分はこちら).今回で,ピンカー側の主張はおしまい.

以下,訳文:


まとめましょう:エリート大学のハードサイエンス系学部における統計的な男女差に関連する性差を支持する「ひとかけらの証拠」以上のものがあるとぼくは考えています.生活の優先事項,ヒトとモノへの関心,リスク追求,空間変換〔モノを頭の中で回転させるなどの能力〕,数学的推論には信頼できる平均的なちがいがありますし,こうした特徴の変異性にもちがいがあります.また,こうしたちがいが社会化やバイアスによって完全に説明できないという証拠も10種類あげました.とはいえ,社会化やバイアスで説明できる部分があるのも確かです.
締めくくりに一言.いま述べてきたことは,どれひとつとして,女性を科学から遠ざけているバイアスや障壁を無視する論拠にはなりません.「公正であること」と「同じであること」の区別をわきまえているかぎりは,そうなりません.Gloria Steinem の言葉で,結びに代えます.「ペニスやヴァギナが必要なのはほんのひとにぎりの仕事でしかない.他の仕事はどれも,男女双方に開かれているべきだ」

――今回はここまで.

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