remember や forget の場合,動詞のあとに TO不定詞を続けるのか,-ing 形を続けるのかで伝えることがちがってくる.たとえば,オックスフォード英語辞典では,こんな例を挙げて意味のちがいに注意をうながしている:
Notice the difference between remember doing something and remember to do something:I remember posting the letter means ‘I have an image in my memory of doing it’;I remembered to post the letter means ‘I didn’t forget to do it.’例文だけ抜き出しておこう:
- I remember posting the letter →「投函した記憶がある」
- I remembered to post the letter →「忘れずに投函した」
覚えておくのがこれからやること(まだ実現していない事柄)なら TO不定詞を使い,過去の事実なら -ing形式を使えばいい.
他の例文も見ておこう(太字強調は引用者によるもの):
他の例文も見ておこう(太字強調は引用者によるもの):
- I vaguely remember hearing him come in.「彼が入ってきた音が聞こえたのをうっすら覚えている」
- Do you remember switching the lights off before we came out?「出てくる前に明かりを消した覚えはある?」
- Remember to call me when you arrive!「到着したら忘れずにこっちに電話かけてね!」
forget でも同様だ:
- Take care, and don't forget to write.「じゃあね,あと,忘れずに(手紙を)書いてね」
- I forgot to ask him for his address.「彼に住所を聞くのを忘れてた」
remember/forget にかぎらず,この「実現していないこれから先のこと」vs「すでに実現したこと」という対比が TO不定詞と -ing形の使い分けにうまく対応しているケースはある.たとえば,R.M.W. Dixon, Semantic Approach to English Grammar (2005; p.255) から:
- (52a) John tried to drive the Honda.「ジョンはホンダ車を運転しようとしてみた」
- (52b) John tried driving the Honda.「ジョンはホンダ車を運転してみた」
例文 (52b) では,彼がしばらくホンダ車を実際に運転したこと(おそらくその車を気に入るかどうかわかるくらい時間をかけて運転したこと)を述べている.一方,例文 (52a) では,彼がホンダ車を実際に運転できなかったことがほのめかされる(おそらくオートマ車にしか慣れていないのにこのホンダ車がマニュアルだったとか,車のオーナーが運転させてくれなかったとか).だけど,この使い分けルールはあまり一般化できない.マイケル・スワンの英文法書 Practical English Usage (4th edition; §95) から:
ダメなルール
学生向けの文法書では,こんな風に言っていることがある:「不定詞はこれから先の時間を表すときに使い,-ing形はそれ以外のときに使う(たとえば I expected to see Megan「ミーガンに会えると思っていた」;I enjoyed meeting her parents「彼女の両親に会うのを楽しんだ」).ざんねんながら,これは信頼できるルールではない: 当てはまるときもあるけれど,例外が多すぎる.(比べてみよう―― I anticipated seeing her brother「彼女の兄弟に会うのを楽しみにしていた」; I was sorry not to meet him「彼に会えなくてざんねんです」)
さらに余談ながら,こうした使い分けの例示に stop のこういう例文を使うのはあまりよくない:
- I stopped smoking. 「喫煙をやめた」
- I stopped to smoke. 「タバコを吸うために立ち止まった」
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