2016年9月6日火曜日

メモ:クルーグマン「ゴア化されるクリントン報道」(2016年9月4日)

概要:2000年大統領選のとき,メディアはブッシュを正直者のように描き,政策のごまかしを伝えなかった;ゴアについては,政策をまともに評価せず,「自分がインターネットを発明したと吹聴している」といった虚偽のエピソードで悪印象をつくった.いまもそれと同じことを繰り返している.

トランプを正直者のように描くのはムリだが,それでも及第点には達しているかのような印象は避けがたい.プロンプトに映されるとおりに原稿を読んでいれば大統領候補らしく見える.スキャンダルは驚くほどわずかしか注目されていない.

一方,クリントンのやることは腐敗しているにちがいないとメディアでは決めつけられている.たとえば,巨大慈善団体のクリントン財団の金を流用したりやクリントンが公職の地位を寄付者優遇に使っているのではないかと疑いをかけられている.

ああいう巨大な組織をメディアが監視するのは当然のことだけど,同財団は独立の監視団体からアメリカ赤十字より高いA評価を受けている

では,公職の立場を利用して寄付者を優遇している可能性についてはどうか.AP通信は「大統領としての倫理が試される」などと書きながらも,寄付者にクリントンが会った例としてその記事にでてくるのは,たまたま友人でもあるムハマド・ユヌスとの会合くらいで,出せる例がそれくらいしかないなら他に既知の問題があるわけない.

むすび:「事実に集中してくれ.アメリカも世界も,ほのめかしの当てこすりに再びつまずかされるような余裕はありゃしないんだから.」

Twitter では,このコラムにリンクして本人がこうコメントしている:
「ジャーナリストに嫌われるだろうから今日のコラムを書くのは気が進まなかったけれど,道義的な義務のように感じた」んだそうだ.

(以上,Twitter でのツイートをまとめなおした)

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