ウィキペディア日本語版「ホモソーシャル」項目の冒頭部分は,どうも英語版 "homosociality" をそのまま訳したもののように見える(2018年2月15日現在).
それじたいは別にいいんだけど,かんじんの翻訳があまりよろしくない:
- なんで名詞の "homosociality" を形容詞の「ホモソーシャル」に変えてしまってるの?
- というか,なんで基本用語の "homosociality" を字面で意味の見当がつきやすい言葉に訳さずに,カタカナにしてるの?
どうせなら,こんな具合に訳した方がいいんじゃなかろうか:
In sociology, homosociality means same-sex relationships that are not of a romantic or sexual nature, such as friendship, mentorship, or others. The opposite of homosocial is heterosocial, preferring non-sexual relations with the opposite sex. In group relations involving more than two individuals, the relation can be either homosocial (involving same-sex social relations), bisocial involving social relation with both sexes or heterosocial involving only opposite sex.
社会学で言う同性対人関係(ホモソーシャリティ)とは,恋愛や性的な性質でない同性の人間関係を意味する.たとえば,友人関係や師弟関係などがこれにあたる.同性対人関係〔の優先〕の反対は異性同性関係の優先で,こちらは異性との非性的な対人関係を好むことをいう〔※英語版では,ここで「対人関係」の意味と「選り好み」の意味が混在している〕.3人以上の個人が関わる集団での人間関係は,同性対人関係(同性の対人関係が関わる)か,両性との対人関係が関わる両性対人関係か,あるいは異性のみが関わる異性対人関係のいずれかとなる.
Homosocial was popularized by Eve Sedgwick in her discussion of male homosocial desire.[1] Jean Lipman-Blumen had earlier (1976) defined homosociality as a preference for members of one's own sex – a social rather than a sexual preference.[2]この概要部分での注意点は,"homosociality" という用語があいまいなところだ:2人または集団での対人関係(お友達だとか職場の同僚だとか)を指す意味と,そういう同性の関係を異性との関係よりも優先すること(選好)をいう意味の少なくとも2つがある.このあいまいさは,日本語で「対人関係」や「同性関係優先」と書き分けているかぎりは回避できる.英語での議論を読む際には,どちらの意味で "homosociality" と言っているのか注意した方がよさそうだ.
同性対人的(ホモソーシャル)は,イブ・セジウィックが男性の同性との対人関係の欲求を論じて広く知られるようになった [1].ジャン・リップマン=ブルーメンはそれよりも早く (1976),性的な好みではなく社会的な好みとして同性の相手を〔異性よりも〕好むことを「同性関係優先(ホモソーシャリティ)」と定義している [2].
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