先日発表された VAIO S11 もキングジムの PORTABOOK も,形態もスペック面も大きく異なるけれど,ともにビジネスユーザーを対象とすることをうたっている機種だ.そして,どちらも VGA 端子(アナログRGB端子/D-sub15ピン端子)をつけてる.
VAIO の場合,11インチクラスの旧機種 VAIO Pro11 では HDMI 出力があって VGA 端子はなかった.そこを逆に変えてきたわけだ.だから,「なんだよ,いまだにVGAをつけているのかよ」って話じゃなくって,はっきりと「ビジネス用途では VGA の方が必要とされている」と判断してるのがわかる.
いわゆるビジネスユースとはちがうけれど,大学の教室設備をみても,この判断は正しいと思う.残念ながら,多くの大学では PC からプロジェクタへの出力に使えるのは VGA 端子ばかりで,いまやけっして新しくはない HDMI での出力ができる場合はほんとに少ないからだ.
あくまでぼく個人の経験してる範囲にとどまってしまうけれど,いま複数の大学で利用している教室のうち,HDMI 接続ができるのはただ1つ,語学の CALL 教室だけだ.あとはすべて,VGA での接続しかできない.教室に備え付けのプロジェクタだけでなく,持ち運び可能なタイプのプロジェクタを貸し出している大学でも,HDMI 対応の機種があるケースはあまりない(し,あっても誰かに使われている).
おそらく,たいていの大学で,教室設備の更新はものすごくゆったりとしかすすんでないんだろう.もっと一般的に,日本の多くの職場でも,事情は大きく変わらないんじゃないかと思う.そういう環境では,「ビジネス用途」のモバイル PC において HDMI よりも VGA の方が優先度が高くなるのは当然といえば当然だ.
でもまあ,機器を更新するほどの余裕がないっていう,切ない話ではある.
2015年5月にでた VAIO Pro13 Mk2 の開発者インタビューで,こういう発言もある:
前のVAIO Pro 13は日本だけでなくグローバル市場での商品性を意識した製品だった。VGAとEthernetは日本市場に限って言えばニーズは非常に大きいのは分かっていたが、日本以外の市場だと、なぜこんなレガシーなポートが付いているのだ、と言われてしまう。しかし、新生VAIOでは日本市場にフォーカスした製品を作ることになり、セキュリティへの観点から有線を使いたいニーズのためにEthernet端子を、さらにプロジェクターに直接接続したいというニーズのためにVGA端子は追加することにした
(「ビジネス寄りに進化したVAIO Pro 13 | mk2開発者インタビュー」;強調は引用者によるもの)
このあたりの事情は,ふだんの環境がちがうとまったくぴんとこないかもしれない.
このあとは愚痴.
いま,ぼくが主に仕事で使ってる PC は VAIO Duo13 で,これには VGA がなくって HDMI 端子しかない.しかたないので,VGA 変換アダプタをかましてつないでいる.「つながるならそれでいいじゃん」と思うかもしれないけれど,HDMI→VGA の変換アダプタを使うと,オーディオ端子からの音声出力は無効になってしまう.授業でなにか音声をながす必要があるときには,USB でサウンドカードをつないで,そこから音声を出力するという手間をかけなくちゃいけない.プレゼンタのレシーバに USB 端子を必ず1つ使うので,これで2つしかない USB 端子がふさがってしまう.学生からプレゼン用ファイルを USB メモリで受けとるとなると,いちいちどっちかを外すはめになる.それに,かんじんのアダプタを忘れてきたり不具合が起きたりすれば,それでいっきに詰んでしまう.
ともあれ,PCやタブレットが進化していっても,それをとりまく使用環境がおうおうにして旧式にとどまったままだと,メーカーとしても一種の退歩を選ぶのが正しい設計コンセプトになっちゃうんだね,というまとめでどうだろう.
USBは拡張アダプタを使用すれば容易に増やせますので利用されてはいかがでしょうか。
返信削除そうしてみます.
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