2016年11月27日日曜日

ミラー先生の『消費』のサンプル訳をつくってみよう (26)

つづき:
こうしたコングロマリットは,使えるメディアすべてを使って傘下のTVチャンネルや映画や雑誌や書籍を相互連携させて宣伝するのに余念がない.たとえば,ワーナーブラザーズが『ダークナイト』のような巨大予算を投じた映画を公開する場合,たいてい,『タイム』誌や『ピープル』誌で特集が組まれ,CNN で好意的な映画評が流され,AOL で広告が展開される.べつに,これは陰謀論ではない.たんにビジネス感覚にすぐれたメディアコングロマリットの標準的営業手法にすぎない. 
6大メディアコングロマリット以外に,広告代理店大手4社もある. 
  • オムニコン ('Omnicon):収益130おくどる,従業員6万1千人.
  • WPP :収益120億ドル,2007年現在の従業員は世界106カ国に10万人.
  • インターパブリック (Interpublic):収益70億ドル,従業員4万3千人.
  • パブリシス (Publicis):収益60億ドル,従業員4万4千人.
大半の大学人は,こうした企業を聞いたこともないけれど,これらが文化工作の核心を占めている.こうした会社は,たんに広告を手がけているだけでなく,デザイン・マーケティング,広告枠買い付け,広報活動,ロビーイングにも関与する.こうした会社がミームを設計し,放送時間や紙面を買いつけ,世間に広め,顧客のために消費者認知・投資家認知・政治的認知を促進する目的をミームたちがどれほど達成したか測定する.総計で年間およそ4000億ドルがグローバル広告市場に使われている――なんらかのミーム・ブランド・製品・人物を競合よりも売り込む目的のためだけに使われているお金がこれだけあるわけだ. 
文化工作の例を他にも考えてみよう:食べ物の好みはどうだろうか.どんな進化心理学の教科書でも,みんなが志望と食塩と砂糖たっぷりのファーストフードをこんなにも食べたくてたまらなく感じる欲求は生得的で,この好みは進化によってつくられたと述べている.この理論によると,こうした栄養素は先史時代にはとても希少で価値があったので,これをほしくてたまらなくする欲求が継承されてきた.ところが,かつてはとても充足しがたかったこの欲求が,現代では逆効果になって肥満と病気につながってしまっている,とこの理論では考える.更新世に,蜂蜜は手に入れにくかった.だから,200カロリーもあるクリスピークリームのドーナッツが食べたくてたまらなくなってしまう.この進化論的な見方は,食べ物の好みに見られる文化をまたいだ普遍的特徴をうまく説明してくれる.


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