2023年9月30日土曜日

用例メモ: 認識用法の have to?

『刑事コロンボ』の1シーンから (Columbo: An Exercise in Fatality)  : 

A: But the fact remains you can't prove that I did it. It could have been anybody. 

Columbo: It could only be you, by your own admission. It had to be you. 

被害者の靴紐のループが本人の結んだ場合と真逆になっていることから,靴紐は他人が結んだのだと推理を披露するコロンボに,容疑者が「だが私がやったとは証明できていない.誰であってもおかしくない」と反論する.それに対して,コロンボが「あんたでしかありえないんですよ,あんた自身の証言でね.あんたしかいないんだ」と指摘する.この have to は認識用法だと考えたくなるけれど,動的用法かもしれない.つまり,can/could が出来事の実現可能性を表すのと対をなすような「それしか可能でなかった」(他のことは不可能だった)という意味だったりはしないか,とも思う.