2025年2月27日木曜日

用例採取:「既婚子持ち中年男性という圧倒的マジョリティ」

「マジョリティ」は,必ずしも多数派という意味で使われていないのかもしれない.

 Twitter(現X)で,こんな発言を見かけた:

悪役令嬢転生おじさんは、既婚子持ち中年男性という圧倒的マジョリティがチートするという内容なので、一歩でも間違えば鼻につく要素しかないと思うのだが、異常なバランスと、「ただただ性格が良くて知見が広くて仕事ができる立派な大人である」という形で鼻につかなくしていて、神業である(※下線は引用者が引いた)

純粋に割合を考えるなら,「中年男性」は日本社会の「多数派」ではない.かりに,35歳~64歳の男性を中年男性とすると,だいたい 20% しかいない(総務省「年齢別人口」).そこから「既婚・子持ち」にしぼれば,もっと少なくなる.「多数派」はあいまいだけれど,2割の集団をそう呼ぶのは難しいし,同じ年齢層の女性もだいたい同じ割合を占めているのだから,割合が他より多い集団とも言いにくい.

「既婚・子持ち中年男性」は多数派ではなく,まして「圧倒的な」多数派ではない.たぶん,発言している人も,そんなことはわかっているだろうと思う.

だとすると,こういう場合の「マジョリティ」は,割合を考えた場合の「多数派」ではなさそうだ.